「何もしたくない」と自暴自棄に 出ない“GOサイン”に焦り…中日・村松開人が乗り越えた葛藤
左肩SLAP損傷から復帰した村松開人内野手の1か月に迫った
左肩SLAP損傷の怪我から復帰したばかりの中日・村松開人内野手が1日のヤクルト戦(バンテリンドーム)でサヨナラ犠飛を放った。前日7月31日の復帰2戦目では猛打賞に好守備も披露するなど、チームの3連勝に貢献。異例のスピード復帰の裏にはトレーナーら周りのサポートも大きかったが、村松自身がこの1か月で様々な葛藤を乗り越えてきたことも大きな要因の一つだった。
6月23日の広島戦(同)での遊撃の守備で三遊間の打球に飛びついた際に負傷し、翌24日に登録抹消。復帰は早くても2か月、長ければ実戦に戻るまで4か月かかるケースもあった。
懸命のリハビリで早期復帰のビジョンが見えたのは7月頭だった。しかし、なかなか1軍からの“GOサイン”は出なかった。無理もない。万全を期して、戻ってきてもらいたいのがチームの思いでもあるからだ。
しかし、責任感の強い村松は1日でも早い復帰を望んでいた。「チャンスは今しかない」と掴んだ定位置の座を取り戻したい気持ちだった。思い通りに復帰の道筋が立てられず、自暴自棄になった時もあったという。「何もしたくないな、と思う日もありました」。
溜まったフラストレーション…心掛けた“不動心”
1軍の勝利に貢献できないフラストレーションが溜まっていた。気持ちを沈めようと自身を支えてくれる人たちに話を聞いた。中でも尊敬している球団OBの湊川誠隆氏からは経験者として、チーム状況についての助言をもらった。「(首脳陣は)しっかりと考えを持って、判断しているはずだから」とはやる気持ちを抑えてくれた。
何もしていないと、ネガティブな思考に陥りやすいことに気付いた。「野球以外でやりたいことを見つけるようにしました」。映画やドラマを見ることにした。見終わったら、次の日の練習へ気持ちを切り替えた。無駄な苛立ちは何もプラスにならない。起用方法など自分が制御できないことを気にかけていても仕方がない――。不動の心を手に入れるよう努めた。
すると、やるべき課題だけに向き合えるようになった。「気がついたら、映画やドラマを見ていた時間がそのままトレーニングの時間となっていました」と練習時間が増えた。1軍復帰の時を待って、自然と野球だけに向き合っている自分がいた。
自暴自棄から脱却した後は、それまでは悔しさから観られなかった1軍戦もチェック。「客観的に見て、自分だったらどうするかなと考えたりしました」。ファームにいる期間はフィジカルや技術だけではなく、メンタルの成長もあった。我慢の時を乗り越え、気持ちの立て直し方を手に入れて、村松は戻ってきた。
(Full-Count編集部)