1番で躍動…楽天28歳が“覚醒”したワケ 一変した打撃スタイル…“リーグ最低”の7.3%
楽天・小郷裕哉は初球のボールゾーンへのスイング率が7.3%…パで最も低い
楽天の6年目28歳・小郷裕哉選手が存在感を放っている。昨季は規定打席に2打席足りなかったものの、自己最多の120試合に出場した。今季は主に1番を任され、チーム唯一となる前半戦全試合でフルイニング出場。前年を上回る打率、出塁率を残している。今回は1番打者として頭角を現した前半戦のバッティングについて探る。(文章、表中の数字はすべて7月21日終了時点)
注目したいのがアプローチ面の変化。今季の小郷は全体のスイング率が前年から低下。中でも、これまで30~40%台を推移していた初球のストライクゾーンスイング率は27.0%。ファーストストライクに対して、例年よりも手を出さない打席が増えている。初球のボールゾーンに対してはスイング率7.3%と、パ・リーグの規定打席到達者で最も低い。勝負に大きく影響する1球目で、結果次第では相手投手を助けてしまうボール球をしっかり見極められている。
ボールゾーンスイング率をカウント別に見ると、今季は初球に限らず減少。いずれのカウントでもリーグ平均を下回っている。その結果、選んだ四球はソフトバンク・近藤健介外野手に次ぐリーグ2位。これは現時点で自己最多の数字であり、出塁率アップに大きくつながっているだろう。
以前より慎重な打撃スタイルとなった印象も受ける中、続いて注目したいのがストライクカウント別の成績。昨季は0ストライク時の打率が1割台に低迷し、初球もしくは打者有利のカウントで仕留めきれない場面が多かった。今季はスイング率が低下しながらも0ストライク時の打率が.339。本塁打は6本中4本がファーストストライクを捉えたもの。積極性を失ったわけではなく、スイングを仕掛ける球を選びながらも浅いカウント時に高打率を残していた。
チャンスで迎えた打席では変化が出ている。状況別のカウント別ストライクゾーンスイング率を見てみると、非得点圏時は0ストライク時のストライクゾーンスイング率が28.6%。一方、得点圏時は46.5%まで上昇している。全体のスイング率が低下している中、好機の場面では積極的なアプローチへと変えているようだ。
積極性が増す得点圏時はファーストスイング時に打率.452。チャンスでは1球で捉える確率が一層上がっている。1番での出場が中心ながら、打点数はチームトップ3に入る。6を記録。出塁してチャンスを演出する役割にとどまらず、好機では1球で仕留める打撃で得点をもたらしている。
「ホームランを打てて、盗塁もできる選手が理想」と自身も語るように、得点能力にたけた1番打者として躍進を続ける。チームをけん引するリードオフマンとして、一層の活躍を期待したいところだ。
(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)