京都国際快勝の裏で…足がつり主力続々交代 猛暑の甲子園で「普段以上の負荷がかかった」

足がつりベンチに退く京都国際・長谷川颯【写真:加治屋友輝】
足がつりベンチに退く京都国際・長谷川颯【写真:加治屋友輝】

今春の近畿大会で優勝した今大会優勝候補の一角

 第106回全国高校野球選手権大会は8日、第2日が甲子園球場で行われ、第3試合では今春の近畿大会優勝チームで今大会優勝候補の一角でもある京都国際が、7-3で札幌日大(南北海道)を下した。試合運び自体は危なげなかったが、猛暑の中で相次いで主力選手の足がつり、ベンチへ退くアクシデントに見舞われた。

 京都国際は初回から、圧倒的な強さを見せつけた。1死二、三塁の好機に4番の藤本陽毅内野手(3年)が右前へ先制2点適時打。6番の高岸栄太郎内野手(3年)も適時内野安打、7番の長谷川颯外野手(2年)も左前適時打で続き、この回一挙4点を奪った。

 その後も加点し、7回終了時点で7-1とリード。京都国際ナインは8回の攻撃に向けて、それぞれの守備位置から一塁側ベンチへ向かって全力疾走していた。ところが、「3番・中堅」でスタメン出場していた澤田遥斗外野手(3年)が一塁線付近で突然立ち止まる。猛暑で足がつったのだ。

 不運なことに、澤田は8回の攻撃の先頭打者でもあった。ベンチへ戻ることができず、屈伸運動をしながら、チームメートたちが持ってきてくれたヘルメット、バットなどで身支度を整え打席に入った。結局二ゴロに倒れ、その裏の守備からベンチへ退いた。

 それだけでは終わらない。右翼手の長谷川も9回の守備で、足を気にするそぶりを見せていた。2死一、三塁のピンチに、頭上を襲った飛球にグラブを弾かれ、ボールを追う足にもスピードが乗らない。2点三塁打とされ、長谷川はここで急きょ交代しベンチに下がった。

 小牧憲継監督は「外野手は走る距離が長いですし、地面が固い。ウチは攻守交代を絶えず全力疾走で行っていますが、京都府大会では誰1人、足がつる者はいませんでした。甲子園でやるぞと張り切り、アドレナリンが出て、普段以上の負荷が体にかかったのかなと思います」と、異常事態の見解を語った。

涼しい北海道から来た札幌日大の選手には何も起こらない不思議

 今大会には暑さ対策として、朝夕「2部制」が試験的に導入されている。この日も午前中に2試合をこなした後、長いインターバルを置き、観客も入れ替えた上で、第3試合の京都国際-札幌日大は午後5時1分にプレーボール。同6時24分から照明に明かりがともりナイターとなっていた。「涼しくて心地よかったですよ」と小牧監督は首をひねる。

「監督がおっしゃる通りなのだと思います。不思議なことですよね。涼しい北海道から来た札幌日大さんは、誰も足はつっていない。普段、蒸し暑い京都で暮らしているわれわれは、ある程度慣れているはずですからね」と指摘したのは、宮村貴大野球部長だった。小牧監督は「次の試合へ向けて、今日の午前中の過ごし方を、もう1度反省しようと思います」と付け加えた。

 高野連は様々なケアを施し、各チームもそれぞれ暑さ対策を行っているが、一方で「今年の暑さはちょっと異常で格別ではないか」と危惧する声も挙がっている。夏の甲子園はまだまだ予測不能の要素をはらんでいる。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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