吉田輝星が“発見”した高校野球の魅力 鳥肌が立った瞬間…甲子園は「温かい場所」

オリックス・吉田輝星【写真:北野正樹】
オリックス・吉田輝星【写真:北野正樹】

オリックス・吉田輝星、現地観戦で気づいた「甲子園ってすごく温かい場所だな」

 聖地で仲間と流した汗を、思い出した。オリックス・吉田輝星投手は9日に甲子園球場で行われた金足農-西日本短大付を現地観戦した。「自分としてはプレーをしたことしかなかったので、甲子園で野球を見させてもらうのは新鮮でしたね。楽しかったです、本当に」。敗れはしたが、弟の大輝が甲子園のマウンドで奮闘する姿を目に焼き付けた。

 運命だった。輝星は第100回大会で準優勝を経験。6年後の今年、弟の大輝が母校のユニホームを着て、甲子園に出場した。「実感が湧かないというのが本音ですよね。夢みたいで。『マジか、すごいな……』みたいな感じでした」。銀傘から見渡す聖地、アルプススタンドは不思議な感覚がした。

「負けちゃったんですけど、最終回に感動の場面がありました。球場全体がチャンステーマに合わせて手拍子してくださっていて、雰囲気がすごかったんです」

 1試合観戦していると、鳥肌が立ったシーンがあった。「よく見たら、1人のファンが両方のチームを応援していることがあるんですよね。好プレーには全部、拍手を送ってくださる。その光景を見て『甲子園ってすごく温かい場所だな』と思ったんです」。震える心を落ち着かせ、じっと見つめた。

「自分の好きなチームを応援するだけじゃなくて、頑張ってるみんなを応援する。そのスタイルは高校野球ならではなのかなと感じた瞬間でした。野球自体を応援してくれている。両校のプレーで歓声が生まれる、すごく良い場所だなと思いましたね」

 自身は今季から新天地で躍動。今季ここまで41試合に登板して2勝0敗11ホールド、防御率3.44を記録している。「投げる球も捕手との意思疎通ができるようになっている。自信を持って投げられています。シンプルに臨めているので、どんどん腕が振れています」。晴れた心こそ原点。青春は、歳を重ねても色褪せない。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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