ド軍31歳は「POでも活躍」 4度の“戦力外”→マイナーから覚醒…苦労人が掴んだ居場所
バンダは直近8試合無失点…番記者も「ドジャース最高のリリーフになる」
【MLB】ドジャース 6ー3 オリオールズ(日本時間30日・ロサンゼルス)
マイナー契約から這い上がった苦労人がついに居場所を見つけた。ドジャースのアンソニー・バンダ投手は29日(日本時間30日)、本拠地・オリオールズ戦に2番手で登板。1安打を許したが無失点に抑えた。直近8戦連続無失点。MLB公式サイトのドジャース番、フアン・トリビオ記者も「プレーオフでも活躍するよ。絶対に。ドジャースで最高のリリーフの1人なるだろう」と確信していた。
この日、2点リードの6回に登板。強豪オリオールズの上位打線が相手だったが、ヘンダーソンを二ゴロ、サンタンダーに安打を許した後、オハーンを遊ゴロに仕留めた。2死で対戦したヒメネスには追い込んでからスライダーで空振り三振。グラブを左手で叩いて喜びを表現した。
2017年にダイヤモンドバックスでデビューし、ドジャースが実に8球団目。2018年6月にはトミー・ジョン手術を受けた。2019年後半に復帰したが同年は防御率6.75、翌2020年は短縮シーズンで好結果を残せず防御率11.57に。苦しい日々に精神科に通ったり、セラピーを受けたりともがいていた。
2022年からは4度のDFAとなり、今季は開幕前にガーディアンズとマイナー契約を結んだ。メジャー昇格することはなく、5月17日(同18日)にドジャースがトレードで獲得。同19日(同20日)にメジャー契約を結ぶとそれが転機に。以降は怪我人続出の救援陣を支え、キャリアハイの42試合に登板し、防御率2.02と抜群の安定感を誇る。
直近8試合は被打率.185。長打を1本も許していない。レイズ時代から見ているトリビオ記者は「彼はトミー・ジョン手術の後に少し苦しんだ。ただ、驚いてはいないよ。これほど早く活躍したことには驚きだったけど」と活躍に目を細める。ロバーツ監督も「アンソニーは素晴らしいよ。ストライクを投げられるし、右打者にも対応できる。耐久性もある。チームの文化にも馴染んでいる」と信頼を置く。
チームは30日(同31日)からダイヤモンドバックスと首位攻防4連戦を戦う。バンダは妻の家族がアリゾナ在住。「家族が観に来るから頑張りたんだ」と張り切っていた。すでにプレーオフには欠かせない存在。家族の思いを込めたタトゥーが刻まれた左腕を振り続ける。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)