大谷翔平抜きに…「今の順位にはいない」 ベッツが激白、偉才が覆す“DH負の歴史”

ドジャース・大谷翔平【写真:ロイター】
ドジャース・大谷翔平【写真:ロイター】

大谷翔平は史上初の「DHでのMVP」に輝けるのか

 ドジャース・大谷翔平投手は史上初となるDHでのMVP選出に期待がかかる。これまで守備に就かず受賞した選手がいないだけに米ではさまざまな声が上がっているが“容認”する声をあげる元MVP選手たちもいる。

 エンゼルス地元紙「オレンジカウンティ・レジスター」では「DHとして主に出場した選手は誰一人としてこの賞(MVP)を獲ったことはない、しかし、オオタニが史上初の50-50シーズン達成を控える中、かつての受賞者たちは思考プロセスを変えている」と報じられている。

 同紙は「ア・リーグで1973年、ナ・リーグで2022年にDH制が導入されてから、ピッチング抜きでDHとして出場した選手がMVPを獲ったことはない」と言及。1979年、エンゼルス在籍時にMVP選出されたドン・ベイラー外野手は162試合のうち65試合がDHでのスタメンだった。これまでのMVP受賞選手でDHでの出場割合が最も高かった選手となる。

 DHでの出場選手はこれまで、MVP投票での最上位は2位で、4度ある。そのなかでも、2005年のデビッド・オルティスが受賞に最も近かったと同紙は伝えている。1位票を11票集め、16票を集めたアレックス・ロドリゲスに次ぐ2位だった。このことに、レッドソックス在籍時の2018年にMVPを獲得したことのあるドジャースのムーキー・ベッツ内野手は「彼が50盗塁していたら、きっと(MVPを)獲っていただろう」と笑顔を見せた。

 2020年にMVPを獲得したフレディ・フリーマン内野手は「ずっと(DHはMVPを獲れないと)そう思ってきた。だが今年、彼(大谷)がしていることを思えば、反論するのは難しい。DHは毎試合4打席か5打席しかないのでDHがMVPを獲るのは難しいと思っていた。だが50-50の可能性があるとなると、再考しなければならないかもしれない」と意見を述べている。

背中を押すロバーツ監督が投げかける疑問…「投手がMVPを獲れるか?」

 他の候補選手に目を向けるとメッツのフランシスコ・リンドーア内野手は「30-30」の可能性があるが、攻撃面での数字は全ての部門でオオタニを下回る。ダイヤモンドバックスのケテル・マルテ内野手も、MVPに相応しい「証拠を積み上げていたが、この3週間は負傷者リストに入っている」と同紙は論じている。

 さらには「オオタニの攻撃面での結果に匹敵するのはブレーブスのマルセル・オズナだけかもしれない。ただ、オオタニ同様、オズナも今季1試合も守備に就いてない」と同紙は報じている。

 DHでのMVP選出にベッツは同紙に「賛成しているのではない。だが、彼がしていることをこれまで誰もやっていないということでもある。所属チームの勝利を助ける最高の選手。それが全て攻撃でも、全て守備でも、MVPだと思う。最も価値ある選手。正解も間違いもない。彼がいなかったら僕らは今の順位にいないことは確かだ」と胸中を明かしている。

 ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は「投手がMVPを獲れるか? 私はそれも同じように問いたい」と言及。投手“一刀流”はどちらのリーグでも複数回MVPに選出されている。最近では2014年ドジャースのクレイトン・カーショー投手が受賞している。

 カーショーは「MVPは何が最も貴重かを全て網羅するべきだ。当然、守備もその一部を成す。だが(大谷は)あれだけ攻撃面が良くて、他の選手より貴重なのであれば(DHが選出されても)いいと思う」と見解を述べた。歴史的記録を打ち立て続ける大谷が、新しい“金字塔”にたどり着けるか注目が集まっている。

(Full-Count編集部)

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