新天地で躍動…元中日&オリ助っ人が2冠 元NPBドラ1の異名は「台湾のダルビッシュ」
今季1軍参入…台鋼ホークス所属のモヤは本塁打&打点でトップ
前後期制で全6チームが60試合ずつ戦う台湾プロ野球(CPBL)で、中信兄弟が後期優勝を果たした。今季就任した平野恵一監督は日本人として、CPBL6人目の半期シーズン優勝指揮官となった。(情報は9月30日現在)
毎年プレーオフが実施される台湾プロ野球は前後期の優勝チームが異なる場合、年間勝率の高い半期優勝チームが7戦4勝制の台湾シリーズに進出する。年間勝率の低い半期優勝チームは1勝のアドバンテージを持ち、残りチームのうち最高勝率チームとシリーズ進出をかけ、5戦3勝制のプレーオフを戦う。
前期優勝の統一セブンイレブン・ライオンズ、後期優勝の中信兄弟、今季から古久保健二監督が率いる楽天モンキーズのプレーオフ進出が決定した。中信兄弟は年間順位でも前期優勝の統一に3ゲーム差をつけ、年間1位へのマジックを2としている。
今季、台湾プロ野球は空前の盛り上がりをみせ、公式戦の観客動員数は8月26日、269試合消化時点(全360試合)で史上初の200万人を突破。1試合の平均観客数も約7750人で、初めて7000人台に乗ることは確実だ。
各球団の興行面での努力が一役買っていることは間違いないが、屋内球場「台北ドーム」の運用開始、第6の球団「台鋼ホークス」の参入で新しい風を吹き込んだことが大きいだろう。2022年に台湾プロ野球へ参入した台鋼は、昨シーズンは2軍公式戦を戦った。昨年8月、楽天モンキーズとの間で、直前ドラフト会議で1位指名した元メジャーリーガー林子偉内野手と、楽天の3選手及び王柏融外野手が帰国した際のCPBLにおける「契約所有権」譲渡という、実質的には「1対3プラス1」となる大型トレードを決行。オフに日本ハムを退団した王柏融は昨年12月、台鋼入りを果たした。
前期シーズンは23勝37敗で最下位に沈んだ。しかし、後期は56試合消化時点で24勝31敗1分け。富邦ガーディアンズの不振もあり、5位につけている。主力野手の1人が、かつて中日やオリックスでもプレーした「魔鷹(モーイン)」ことスティーブン・モヤ外野手だ。112試合に出場し、29本塁打、94打点でリーグ2冠。OPSも.924でリーグトップを走る。主将の王柏融は110試合で打率.280、6本塁打。9月29日に2軍降格し、台湾復帰初年度を終えた。打点60はリーグ5位、OPS.780はチーム2位、リーグ10位だった。
元オリの吉田一将は今季途中にオイシックスから台鋼へ…14戦無失点の躍動
投手では、日本人投手も3人在籍。開幕時には中日やDeNAでプレーした笠原祥太郎投手、元埼玉武蔵の小野寺賢人投手が登録された。笠原は本拠地開幕戦で勝利投手となったが、その後、肩の違和感で2軍降格。外国人枠の関係で退団となった。
一方、昨年のアジアウインターリーグに「テスト外国人」として参加、優勝に貢献して契約を勝ち取った小野寺は6試合連続クオリティスタート。防御率2.31、WHIP0.97の安定感で、主力投手の1人となった。その後、肘の靭帯損傷で今季絶望となったが、復帰へ向けリハビリを続けている。
8月初旬には、2013年ドラフト1位でオリックスに入団した吉田一将投手が、オイシックス新潟から加入。8月25日の味全戦で1軍初登板を果たした。14試合連続無失点の活躍で、9月11日には初セーブもマークした。35歳右腕には「台鋼のダルビッシュ」の異名もつけられている。
残念なニュースもある。昨季限りで西武を退団し、ドラフト1位で入団した呉念庭内野手の負傷離脱だ。8月31日の楽天モンキーズ戦で途中から一塁の守備に就いたところ、強烈なゴロがイレギュラーバウンドし、ボールは左腕で跳ねてから顔面に直撃。そのまま退場した。
診断結果は、鼻骨と眼窩底の骨折。手術を終え退院した9月5日、自身のSNSに痛々しく腫れ上がった顔の写真も添え、「早くグラウンドに戻り、プレーを通じてお返ししたい」と意気込みを記した。さらに同30日にSNSを更新。打撃練習に取り組む様子や特製のフェイスガードの写真と共に「順調に回復できた。1日でも早く復帰出来るように頑張ります」と投稿していた。
(「パ・リーグ インサイト」駒田英)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)