米ドラフト漏れに失意も…翌日即“就活” グラブ1つで帰国、逆輸入23歳が狙うプロ入り
大山盛一郎は10月24日のドラフト指名を目指してくふうハヤテに電撃加入
今季からウエスタン・リーグに新規参入した、くふうハヤテの大山盛一郎内野手は、米大学でのプレーを経て8月に電撃加入した。米ドラフト候補とされながらも指名されずに帰国。自ら売り込み、ハヤテへの入団を決めた異色の経歴を持つ“逆輸入”の23歳は、次なる目標である「日本でのドラフト指名」に全力を注いでいる。
沖縄・興南高から英語も話せないまま飛び込んだ米大学野球。マーセットカレッジで結果を残して、全米大学体育協会1部のカルフォルニア大アーバイン校に編入した。夏にはケープコッドリーグに招待され、2023年シーズンは二塁手の最優秀選手に、4年生となった2024年はサイクル安打を達成するなどその名を轟かせた。しかし、7月のドラフト会議で名前が呼ばれることはなかった。
「最初はもちろん、悔しかったです。ウワーってなりました。でも、かかるために自分のできることをやってきた。本当に自分ができる120%をやってきたと思ったので、次の日には悔いはないなと。何をしておけばよかったという後悔は全くなくて、清々しいというか……。くよくよしても何も始まらないので、ダメだったから次に行こうと思いました。次は日本がある」
大山の行動は早かった。翌日には気持ちを切り替え、日本の野球について調べ始めた。周囲の人に話を聞き、相談に乗ってもらいながら「日本のドラフトにかかるためにアピール」できる道を模索した。そしてハヤテの存在を知り、自ら売り込み。練習参加できることが決まると、翌日にはトレーニング先の米国から日本に帰ってきた。「本当にグラブひとつくらいの勢いで飛んできて、荷物は後から送ってもらいました。早く野球をしたいと思っていたので」と笑った。
ハヤテではすぐにレギュラーを掴み、NPB球団のスカウトもそのプレーに目を光らせた。33試合で打率.220、5打点、3盗塁。アピールできる機会は決して多くはなかったが「後悔だけはしたくないんです。自分ができることは毎日やっているつもり。今日辞めても明日辞めても後悔しないくらいにはやっているので」と信条の積極的なプレーでグラウンドを駆け巡った。
3週間後に迫るドラフト会議への気持ちを聞くと「不安は全然なくて、楽しみしかないです」とニッコリ。米大学に踏み出した時と変らないワクワク感に包まれているようだ。「今、毎日楽しいので、野球ができることに感謝しています。こっちに来て毎日野球がうまくなっている気がするし、練習するのも試合をするのも楽しみなんです」と目を輝かせる。その未来は、果てしないほどの可能性が広がっているようだった。
(町田利衣 / Rie Machida)