育成だけで50人以上…鷹23歳が戦力外に本音 「争いに負けた」直面した現実

球団事務所を訪れたソフトバンク・伊藤大将【写真:竹村岳】
球団事務所を訪れたソフトバンク・伊藤大将【写真:竹村岳】

育成5年目の鷹・伊藤大将…戦力外通告を受けて「納得というか当然だと思う」

 ソフトバンクは7日、育成の8選手に対して来季の選手契約を結ばない旨を通達したと発表した。その中の1人が、伊藤大将内野手。5年間を過ごしたチームに対して「まずは『お疲れ様でした』と言ってもらいました。あとは怪我なくできたのは良かったのかなという話をしました。覚悟の上というか、(戦力外は)そうだろうなというのは自分の中ではありました。納得というか、当然かなと思います」と思いを語った。

 大阪府寝屋川市出身。高校は青森の八戸学院光星高に進学し、甲子園出場も経験した。2019年育成ドラフト3位でソフトバンクに入団。右投げ右打ち、安定した守備で主に二遊間をこなすスタイルだった。「あっという間というか、気がついたら“この時”が来たなという感じです」と潔く、これまでの5年間を振り返っていた。

 ソフトバンクでは、2021年から育成選手をより多く獲得する方針となった。今年も、3桁の背番号だけで50人を超える大所帯。2軍戦では1試合に育成選手は5人までしか出場できないという規定もあり、必然的に出場機会は限られた。伊藤も今季はウエスタン・リーグで9試合に出場して打率.250、1本塁打、2打点。定着するまでには至らなかった。

 他球団にはない選手層の厚さ。伊藤自身も「同期の石塚は支配下になったので、そこまで(支配下は)遠いものではなかった。そこの争いに負けたというのは自分の中であります」と受け止めていた。同期入団で同学年の石塚綜一郎捕手が、今年の7月に支配下登録されて1軍で本塁打も記録した。同じ年月を重ねてきた選手が結果を出しているのだから「同級生で掴んでいるやつがいるのは事実なので」と、現実を真っすぐに受け止めていた。少しの苦笑いとともに、こう語った。

「石塚は同級生で、育成から入って唯一、支配下になった。1軍でも打ったりしているので、一気に離されたな、っていう。嬉しいのか悔しいのか、わからないような感じですね」

 育成選手は3年目のオフに1度、自動的に戦力外になる。3桁を背負って5年も戦ったことには「球団の方が、自分に期待をして契約を更新してくれた。そこに応えられなかったのは残念ですけど、『5年も見てもらって、ありがとうございました』とは伝えました」と、感謝は尽きない。今後については「もう少し、野球はやりたい気持ちがあります」と現役続行に意欲を示した。「いろんなことをやってみたい気持ちもある。しっかりと考えていこうかなと思います」。寂しそうな表情で、雨が降る中、みずほPayPayドームを後にした。

(竹村岳 / Gaku Takemura)

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