大谷翔平の「我慢」に感じた充実 シーズンと変わらぬ姿勢…専門家絶賛の2打席
新井宏昌氏が占うナ・リーグ優勝決定S…両軍とも打線に「爆発力」
ドジャースの大谷翔平投手は14日(日本時間15日)に本拠地で行われたメッツとのナ・リーグ優勝決定シリーズ第2戦(7回戦制)に「1番・指名打者」で出場し、3打数無安打2四球2三振。チームは3-7で敗れ、1勝1敗のタイとなった。第3戦は16日(同17日)に舞台を敵地・ニューヨークへ移して行われる。ドジャースはワールドシリーズ進出できるのか。現役時代にNPB通算2038安打を放った新井宏昌氏が占った。
ナ・リーグ優勝決定シリーズは、ドジャースが第1戦に9-0で大勝。しかし、メッツも第2戦で2回までに6点を奪う猛攻を見せ完勝、タイに持ち込んだ。両チームとも先発投手に不安を抱え、打線は爆発力を秘めている。現在MLB中継の解説も務める新井氏は「バットをビュンビュン振っていく両チームですから、1-0とか2-1といった展開にはなりにくいかなと思います。どちらのチームに走者の多くいる場面でホームランが出るかが、勝敗を左右する気がします」と予想する。
「メッツ打線では、第2戦で先頭打者本塁打を放った(フランシスコ・)リンドーア(内野手)、2回に満塁弾を放った2番打者の(マーク・)ビエントス(内野手)に“要警戒”でしょう」と新井氏は指摘。特にビエントスは、ポストシーズン9試合で打率.378、3本塁打11打点と好調だ。さらに「4番の(ピート・)アロンソ(内野手)も、ブルワーズとのワイルドカードシリーズ第3戦では、ポストシーズン敗退目前に追い込まれた9回1死一、三塁で奇跡的な逆転3ランを放っていて、気が抜けません」と付け加えた。
舞台は、愛媛県新居浜市に近い緯度のロサンゼルスから、青森市とほぼ同じ緯度のニューヨークへ移り、気温が一気に下がりそうだが、それとは裏腹に熱い打ち合いとなる可能性が高いというわけだ。
ド軍先発が「本来の投球をすれば有利な展開に」
ドジャース投手陣は、リリーフ要員が短いイニングを継投する“ブルペンデー”が、パドレスとの地区シリーズ第4戦では功を奏したが、リーグ優勝決定シリーズ第2戦では打ち込まれた。「幸い、ニューヨークで行われる第3、第4、第5戦には、もともと先発である(ウォーカー・)ビューラー、山本由伸、(ジャック・)フラハティが先発できそうで、彼らの出来が鍵になります。本来の投球で、ある程度ロースコアに抑えられれば、有利な展開に持ち込めると思います」と新井氏は見ている。
一方、ドジャース打線で鍵を握る選手として新井氏は、レギュラーシーズンで圧倒的な成績を残した大谷と、右足首の故障を抱えながら出場を続けている主砲フレディ・フリーマン内野手の名前を挙げる。
大谷に関しては「リーグ優勝決定シリーズ第2戦では、3打席凡退した後、ぜひとも打って結果を残したいと考えがちなところでしたが、我慢して2四球を取りました。レギュラーシーズン同様、自分がやるべきことをやろうとしていて、心身ともに充実していると思います」。本塁打は地区シリーズ第1戦で放った1本のみだが、新井氏は高く評価する。
また「フリーマンは、足が万全でないことは明らかですが、毎試合出場していますし、ここぞという場面では全力疾走している。打撃でいい当たりを飛ばしているので、チームにとってはやはり、いるといないとでは大違い。欠かせない選手だと思います」と強調した。
勝率.605(98勝64敗)でナ・リーグ西地区を制したドジャースに対し、メッツは同.549(89勝73敗)で東地区3位に終わりながら、ポストシーズンを勝ち上がってきた。まずはドジャース投手陣が、“ミラクル・メッツ”の勢いを止められるかがポイントと言えそうだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)