軟式野球は「デメリットと思わない」 日本一11度の強豪が“年間250試合”を戦う理由

中学軟式野球の強豪、石川・星稜中【写真:チーム提供】
中学軟式野球の強豪、石川・星稜中【写真:チーム提供】

今春の中学軟式野球王者、石川・星稜中は実戦経験でチームを強化「1年生にもプラス」

 どれだけ練習を重ねても、試合で良い結果が出せない――。そんな経験をした指導者は多いだろう。「試合に勝る練習はない」と、年間約250試合を消化して選手のポテンシャルを引き出すのが、全国制覇11度を誇る石川・星稜中だ。Full-Countでは小学生・中学生世代で日本一を成し遂げた監督に取材。高校進学後も活躍できる“育成論”を、五田祐也監督に聞いた。

 星稜中は今年3月に行われた「文部科学大臣杯第15回全日本少年春季軟式野球大会ENEOSトーナメント」で、大分・明豊中を2-1で下し、大会最多となる3度目の日本一を達成した。失敗を恐れないアグレッシブなプレースタイルは健在だが、五田監督は「全国の中でうちより練習しているチームはある。そこで勝っている部分はないと思っています」と口にする。

 チームは3学年計84人の大所帯。実力や学年に応じてA、B、Cの3グループに分けているが、驚くべきは1年間で消化する試合数だ。「1日で多い時は3、4試合はやります。1年生でも試合を経験できるのは大きなプラスだと思います」。公式戦を含め、3チームで年間250試合を消化するという。

「(数多く)マウンドで投げられる、打席に立てる。確保されているのではなく、もちろん、競争の部分もあります。ですが、試合に出られる環境があるので、『次は頑張ろう。どうすれば試合に出られるか』とモチベーションにもつながります。練習も大事ですが、試合でしか得られないことはたくさんあります」

今春日本一に輝くなど全国制覇は11度に及ぶ【写真:編集部】
今春日本一に輝くなど全国制覇は11度に及ぶ【写真:編集部】

打撃練習ではバレルバットでソフトボールを打つメニューも

 試合ではタイブレークに持ち込まず、打順は同じタイプの打者を並べないことを心掛けている。バランスよく左右の打者を入れることで「ストライクゾーンの見え方も変わる」と、相手投手に投げやすい環境を作らせないという。

 また、星稜中でプレーした選手は、高校進学後も活躍するが特徴だ。軟式と硬式でボールの違いはあるものの、五田監督は「(硬式球に替わる際の)怪我のリスクは多少あるかもしれないが、軟式出身がデメリットだとは思いません。『初めだけです』と保護者の方には伝えています」と語る。

 打撃に関して言えば、大会では複合バットを使用しているが、練習では、グリップの上部が太い形状をした「バレルバット」で、ソフトボールを打つなど技術を上げる練習を欠かさない。「バレルバットは手だけでは操作できない。体全体を使わないと良い打球は飛びません。インパクトも強くなるので長打も増えていきます」。

 星稜中OBには内山壮真捕手(現ヤクルト)や、今年の甲子園に出場した佐宗翼投手ら多数在籍。「先輩たちの活躍する姿も刺激になっています」と語る、五田監督は今月21日からの「日本一の指導者サミット」に出演予定。長く野球を続け、活躍する選手の育成論などを披露してくれる。

全国制覇11回、今春日本一…星稜中学校野球部の指導・練習法を紹介!

 Full-Count、First-Pitchと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では、今月21日から5夜連続でオンラインイベント「日本一の指導者サミット2024」を開催します。小学生・中学生の各野球カテゴリーで全国優勝経験がある全11チームの監督を招き、日本一に至るまでの指導方針や独自の練習方法について紹介していきます。参加費は無料。登場予定チームなどの詳細は以下のページまで。

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(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

少年野球指導の「今」を知りたい 指導者や保護者に役立つ情報は「First-Pitch」へ

 球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。

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