弁当作りに困る小学生保護者の「お助け食材」とは? 全国出場の体を作る“最新知識”

補食をとる埼玉の学童野球チーム・山野ガッツの選手【写真:高橋幸司】
補食をとる埼玉の学童野球チーム・山野ガッツの選手【写真:高橋幸司】

埼玉の学童野球チーム・山野ガッツは食育重視で全国出場…指導者に大切な「最新の学び」

 学童期から食育の大切さはわかっていても、実際に子どもたちに何を食べさせたらいいのか、お弁当には何を詰めたらいいのか……。判断に迷う保護者も多いのではないだろうか。埼玉県越谷市の学童野球チーム・山野(さんや)ガッツでは、10年ほど前から食育を導入した。体つきは年を追うごとに変化を見せ、6年生チームが今夏行われた「高円宮杯 第44回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」に初出場。圧倒的な打撃力を武器に全国1勝を挙げるなど、効果を見せている。

 5年生チームでヘッドコーチを務める鍋島匡太郎さんは、躍進の陰に食育の効果があったことを強調する。

「彼ら(6年生チーム)は、3年生の時から食育を取り入れました。初めは、食べる習慣を身に付けるという1年に。何をどのタイミングで、どういうものを食べたらいいのか、私もしっかりと勉強をして、保護者や子どもたちに伝えました」

 下級生のうちは、まずは“しっかりと食べる”ことを体に覚え込ませる。もちろん、炭水化物(糖質)、タンパク質、脂質の3大栄養素を中心として、バランスの良い食事を摂るのが理想ではあるが、「最初のうちはそこまで質は問いません」と強調する。

「高カロリーのエクレアから始めることもあります。まずは“食べること”が目的。高学年になってから質をお伝えするようにしています」

 しっかりと食べる習慣が付いてから、何を摂取していくかを取捨選択していく。中でもタンパク質は、スポーツ選手にとって筋肉を大きくし、パフォーマンス向上のために必要不可欠な栄養素でもあるため、積極的に口にしたいところだ。

山野ガッツの練習の様子【写真:高橋幸司】
山野ガッツの練習の様子【写真:高橋幸司】

おすすめは「手軽に食べられる」魚肉ソーセージ

 肉類や魚介類はタンパク質を豊富に含むが、両方を料理するには時間と手間がかかる。そんな時の“お助けフード”があると鍋島さんは語る。

「魚肉ソーセージはおすすめです。手軽に食べられるし、魚を毎回焼かなくても、肉と一緒に弁当に入れていれば、両方の栄養素がバランス良く摂れるので、それだけで十分です」

 1日練習の時は、正午の昼食とは別に、午前10時と午後3時を補食の時間に充てるなど、食べる機会を多く設けている。チョコ、みたらし団子、三色パン、ハム、韓国のり……。各自が好物を持参して栄養を補給する。

「運動直後の30分以内にタンパク質を摂取する“ゴールデンタイム”は、今では消化に悪いとされ、24時間以内で均等になるように摂取することが最適だとも言われています。色々なことが日々変わってきているので、指導者も定期的に勉強しないといけません」

 適切な食育が、技術の向上にもつながってくる。指導者は常識にとらわれることなく、知識をアップデートしながら、子どもたちの未来を守っていかなければならない。

(内田勝治 / Katsuharu Uchida)

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