物々しい大谷50号球の展示 規則破りを警備員が即威圧…異国でも光る存在感
大谷50号球が展示された展望台チケットに30分待ちの列、記念球は警備員2人が配置された
ドジャース・大谷翔平投手の50号ボールが飾られた展望台。年配の観光客が規制線に気づかず、携帯カメラを記念球に近づけた……その瞬間だった。ボールを取り囲んでいたスーツ姿の警備員2人が一歩前へ。何も言葉を発することはなかったが、威圧感は十分。和やかな空気が一瞬にして物々しいものへと変わった。
高さ382メートル。大谷の50号球は台北市を一望できる超高層ビル「台北101」の89階の展望台に飾られた。台湾のIT企業「UCキャピタル」が手数料込みで439万2000ドル(約6億8000万円)で落札した一品。展示初日の前日13日は4人の警備員が配置されたが、この日は2人。それでも“決してルパンはさせない”。少しの不審な動きも見逃さない、そう言わんばかりのピリピリとした空気が、50号ボール周辺に充満していた。
大谷はNPB時代、台湾のスター陽岱鋼と同じ日本ハムに所属。元々、当地での知名度は高かったが、やはり人気絶大だった。この日は展望台チケット(600台湾ドル=約2900円)を購入するのにも30分待ちの列。50号ボールが展示された付近には、常時20人ほどが列を作った。会場は記念球だけでなく、大谷の直筆サイン入りのドジャースユニホームや侍ジャパンのユニホームも展示。大谷の50-50映像が映し出される巨大な球体もあった。異国の地でここまで祝福されるとは……。改めて大谷人気に驚かされた。
たかがボール、されどボール。「夢想高飛(夢は高く飛ぶ)」と題された特別展には、地元の台湾だけでなく、日本からも多くのファンが訪れているという。前人未到の「50-50」を達成したマイアミの地球の裏側でも、異次元の存在感を見せている。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)