初の1軍なし→戦力外も…最終年での“変化” 気づいた役割、大田泰示が伝えたかった思い
16年目で初めて1軍出場なく戦力外「しんどかったけど勉強させてもらった」
今季限りで現役を引退したDeNAの大田泰示外野手が18日、横浜市内で引退会見を行った。3球団で通算16年間の現役生活を過ごしたが、今季はプロ入り後初めて1軍出場なし。「しんどかったけどいろいろな勉強をさせてもらった1年」と振り返った。
春先に怪我で出遅れ、最後まで1軍から声がかかることはなかった。そして待っていた戦力外通告。NPB球団からのオファーを待ったが届かず、ユニホームを脱ぐ決断を下した。
通算907試合で84本塁打、343打点。日本ハム時代は4年連続2桁本塁打をマークしたが、2軍で汗を流し続けるのは今季が初めてのことだった。「今思うと引退を決断するにあたって必要な1年だったかなと思います。野球選手として必要とされる選手ではなくなったのかなとは自分の中では感じるので、必要であれば必ず1軍にいる。プロの世界は厳しいのでそこは自分でわきまえている」と現実を受け止めた。
迫りくる自身の“期限”を感じつつ、2軍で過ごす上で後輩たちへ自身の経験を還元した。「自分のことだけをやるのは簡単かもしれないし、逆にしんどいかもしれない。1年間若い仲間たちと一緒にやって人間的にも成長できたかなと思う部分もある。勉強になることもあった。伝えられることは少なからず15年やってきた経験の中で伝えていこうかなという風に思いも変わった」と大田。役割を察知し、チームのために尽くしたシーズンだった。
そんな2軍はイースタン・リーグを制し、初のファーム日本一に輝いた。戦力外通告を受けていた大田も「4番・左翼」で先発出場し、2安打を放つなど貢献。「シーズンをずっと2軍で過ごして、ひと足先に2軍が日本一になったのというのもまた自分が辞めるいいきっかけになる優勝だった」。ドラフト1位で入団した巨人時代、背番号「55」と大きな期待をかけられながらも苦しんだ。自身の経験から「今の時期を逃すと帰ってこないよ。あのときやっておけばよかったと思わないように準備を怠るなよと」と伝えたきたことが報われた気がした。
「手を抜かずにやったというのは誇れるのかな」と大田。東海大相模から巨人、日本ハムと渡り歩き、最後は再び横浜の地で結実した。「野球界に還元できるように、そういう活動をしていけたらと思います」と次なるステージに向かう。
(町田利衣 / Rie Machida)