侍Jで奮闘、楽天27歳は何が変わった? 6年目で初タイトル…衝撃変化“.457”

楽天・辰己涼介【写真:徳原隆元】
楽天・辰己涼介【写真:徳原隆元】

楽天・辰己は158安打でタイトル獲得…向上した内角球に対する打率

 楽天の辰己涼介外野手は2018年ドラフト1位で入団。2021年から4年連続でゴールデングラブ賞に輝いた。今季は外野手のシーズン刺殺記録を76年ぶりに塗り替える快挙も成し遂げた。打撃は成績は2022年から向上。特に今季全143試合に出場してリーグ2位の打率.294。158安打で自身初の打撃タイトルとなる最多安打者賞に輝いた。

 今季の辰己は右方向への安打が多かった。全安打の約半数に当たる45.6%を引っ張った打球で記録しており、6年間で最も高い割合だった。引っ張り方向の安打の多くは内角球を捉えた打球で生み出された。内角球への対応がヒット量産のキーポイントだった。

 追い込まれる前のコース別スイング率を見ると、ルーキーイヤーから一貫して内角のスイング率が外角より約10%高い。狙い球を自由に絞れる状況で真ん中から内寄りのボールを好んで打つバッターであることを示している。

 その中で今季見られるようになった変化が打球角度だ。内角球に対する打球性質を見ると、ライナー性の打球が増加していることが分かる。これまではゴロになっていたが、今季はヒットを打つための理想的な角度で打球を飛ばすことができていたといえる。

 内角球に対してライナー打球が増加したことの効果は、内角打率の向上という形で表れている。昨季までの5年間の通算内角打率は.240だったが、今季は.313を記録。今季の規定打席到達者の中でリーグ3位の好成績だった。

 今季の辰己は追い込まれるまでは内寄りのボールに狙いを定め、力強く引っ張ってライナー性の打球を飛ばすことで多くのヒットを積み重ねた。早いカウントでのバッティングが飛躍をもたらしたといえるが、特に0ストライク時の数字は際立っており、打率.457は規定打席到達者の中でリーグトップ。長打率も.733と非常に高く、リーグ3位だった。0ストライク時に限れば、リーグ最高のヒットメーカーというだけでなく、リーグ屈指のスラッガーでもあった。

 27歳は現在開催中の「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」の代表メンバーにも選出され、スーパーラウンド進出に貢献した。プロ入り後初の国際大会で、野球日本代表「侍ジャパン」を連覇へと導く活躍に期待したいところだ。

※文章、表中の数字はすべて2024年レギュラーシーズン終了時点

(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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