突然すぎる現役ドラフト通知 わずか20日で新居“退去”…退寮直後に急変、戸惑いの23歳
移籍を察した2度の着信…「急だったので気持ちの整理はついていない」
時間は待ってくれない。自分からも動いて、身の回りの環境を変えていかないといけない。ソフトバンクの吉田賢吾捕手が現役ドラフトで日本ハムに移籍することが決まった。「急だったので、気持ちの整理はあまりついていないですけど。今思うのはプラスにとらえるしかないということ」と胸中を語った。11月22日に契約更改交渉に臨み。50万円アップの来季年俸850万円(金額は推定)でサインしたばかりだった。
プライベートでの外出中に電話が鳴った。1度目は取れなかったが、間髪を入れずに2度目の着信が鳴った。「車の運転中に連絡があって、なんかやらかしたんかなと思ったんですけど」。この日が現役ドラフトだということを思い出し、移籍を察した。「今日電話があるということは、どういうことかわかると思うから」と、スーツで球団事務所を訪れるように指示をされた。
桐蔭横浜大から2022年ドラフト6位で入団。今季は10試合に出場してプロ初安打を含む5安打を記録した。ウエスタン・リーグでも打率.303を残し、捕手登録ながらも打力が最大の持ち味。「少ないかもしれないですけど、ホークスでもチャンスはあるなと思っていました」と、どんな時でも爪痕を残せるように準備を重ねてきた。
吉田はオフのこの日、横浜にフェリーで帰省をする予定だった。取材に応じた時点では船のキャンセルはできておらず、両親にも移籍の電話がかかってきたこと「帰れなくなるかもしれない」という旨だけはすぐに伝えた。
大卒2年目、今オフに福岡・筑後市内の「若鷹寮」を退寮した。一人暮らしを始めた新居も「まだ引っ越しをして20日も経っていないくらいなんです……。やっと(荷解きも)落ち着いてきたところだったんですけど」と苦笑いするしかなかった。今の家について、今後は「自分もわからないです。とにかく引っ越さないといけないので」と、すぐさま“新天地”での拠点も探さなければならない。
昨オフの現役ドラフトで日本ハムに移籍した水谷瞬外野手とは、同学年。今シーズンの姿を見て「羨ましい」という思いで眺めていた。「一緒にやっていた選手がああいうふうに活躍して、交流戦でも高い打率を残した。環境ももちろん、そういう変化って大きいんだなと思いましたし、本人もそう言っていました。(自分自身も)チャンスだと思います」と明かした。家ごと新天地に移って、必ず才能を開花させる。
(竹村岳 / Gaku Takemura)