3連覇の立役者も“ワースト2位”…広島34歳に「HR捨てて」 元コーチが指摘した復活の鍵

広島・菊池涼介【写真:小池義弘】
広島・菊池涼介【写真:小池義弘】

2013~15年に広島打撃コーチ…新井宏昌氏が語る菊池涼介

 来季プロ14年目、35歳となる広島・菊池涼介内野手へ、“元コーチ”が「もう1度、打率3割を目指してほしい」とエールを送った。自身の経験も踏まえ、可能性は十分あると見ている。

 現役時代に通算2038安打を放ち、2013~2015年に広島の1軍打撃コーチを務めた新井宏昌氏は「広島でリーグ3連覇(2016~18年)の頃からレギュラーを張り続けているのは、もはや菊池だけ。年齢は重ねましたが、もう1度3割を目指してほしい」と力を込めた。

 菊池は新井氏のコーチ就任2年目の2014年に全144試合出場を果たし、自身初の3割(リーグ2位の.325)をマークした。2016年には181安打で最多安打のタイトルを獲得、打率は.315だった。打率3割超えはこの2度。今季は136試合に出場し、打率はセ・リーグで規定打席をクリアした24選手中23位の.241に終わった。通算1700安打をマークしている。

 一方で171センチ、71キロの小柄ながら意外な長打力の持ち主で、勝敗を決める一発を放つこともしばしば。2021年の16本塁打をはじめ、2桁本塁打を8度マークし、今季も9発を放っている。新井氏は「“小力”があるだけに本人も時折本塁打を狙い、“0か100か”の打撃をする時がある。球種にヤマを張り、ハマれば長打になるし、ハマらなければクルリとバットが空を切る」と指摘。「ホームランという気持ちを捨てて、泥臭い打撃を心掛けてほしい。そうすれば3割は十分可能だと思います」と提言した。

「強いリストがあだになり、外の球まで引っ張り込むことがある」

 新井氏自身、35歳シーズンの1987年にキャリアハイの打率.366(503打数184安打)をマークし、首位打者に輝いている。新井氏の場合は、前年の1986年に南海(現ソフトバンク)から近鉄へトレードされ、移籍先で名コーチの中西太氏(故人)と出会ったことが転機になった。「中西さんに『相手の球の力を利用しなさい』と教わりました。自分の力を出し過ぎなくても、とらえるポイントさえ良ければボールは飛んでいくという感覚をつかむことができました。菊池にも、そういうきっかけがあればいいですね」と思いやる。

 技術的には「菊池は非常にリストが強い。時々それがあだになって、外角球まで引っ張り込もうとすることがある」とした上で、「若い時には強引に持っていけたかもしれないが、今はそこまでの体の切れは望めない。外角低めを逆らわずにライト方向へ低く打ち返す練習を重視してほしい。それでも、長打になるべきボールをとらえた時にはホームランも出るはずです」とアドバイスを送った。

 菊池の打撃が変われば、チームメートにも好影響を与える。新井氏は「実績のある菊池が泥臭く、なんとかしようという姿勢を見せれば、若い選手たちも続かないわけにはいかなくなりますから。そういう形で若い選手たちを引っ張ってほしい」と要望する。

 名人芸の守備でも、2013年から2022年まで10年連続受賞した二塁手部門でのゴールデン・グラブ賞を最近2年間逃している。だが、35歳は決して老け込む年齢ではない。攻守ともに復活を遂げ、チームを優勝に導くか。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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