宮城大弥に見えた山本由伸の“残像” マウンド後方から盟友が証言「胸にジーンと」

オリックス・紅林弘太郎(左)と宮城大弥【写真:荒川祐史、北野正樹】
オリックス・紅林弘太郎(左)と宮城大弥【写真:荒川祐史、北野正樹】

オリックス・紅林弘太郎が見た宮城大弥の“成長”

 出会って、もう6年になる。オリックスの紅林弘太郎内野手が、同学年の宮城大弥投手の“進化”を見守り続け、刺激を受けている。「宮城はすごく変わりました。中身はずっと『あのまんま』なんですけどね。野球についてはものすごく意識が変わりました。近くで見ていても成長の感じがすごいなと思っています」。2人は2019年ドラフト1位と2位の間柄。“みやくれコンビ”だからこそ、語れることがある。

 ゆったりとしたサイズの洋服を着た紅林が“萌え袖”を肘付近までまくりあげてから言葉を紡いだ。「6年目ですけど、大人になったなぁという実感は全然まだないですね。まだ僕らが1番歳下なので。まだまだ下っ端という感じ。毎日必死ですよ(笑)」。額の汗に手をやり、目を細める。

「でも、宮城は変わりましたね、すごく。レベルというか、そういう問題ではなく。チームを背負っています。エースという立場なので、取り組み方や野球についての考え方も年々、深くなっています」

 躍進のきっかけは“先輩の勇姿”なのかもしれない。「(山本)由伸さんがいた時は、まだ由伸さんについて行っていたイメージがあったんですけど、最近は自分が引っ張っている感じが出ていますね。成績を見ても……。誰がどう見ても宮城がエースなので。その自覚を近くで見ていて感じるものがあります」。進化も“変化”も知っている。

「気合、気迫……。マウンドから『なんとしてもチームを勝たせたい』という思いが伝わってきます。あんなに吠えてました? 本当に気持ちを前面に出ている。宮城のああいう頑張っている姿を見ると『本当に頑張らないとな』と感じます。めっちゃ気合入ってるくないですか? 頑張っている姿。1試合にかけている思いが胸にジーンときます。いやぁ……。くるものがあるっすね……」

 マウンドで“残像”に出会った日もある。「由伸さんが投げる日は、いつもと違う感覚がありました。他の投手の日も、もちろん気合が入っています。ただ、より一段……という気持ちでした。宮城が投げている姿を見ると、それに似ている感覚があります。宮城を勝たせてあげたいなと心から思いますね」。だからこそ、懸命にリハビリ生活も頑張れる。

 今オフも、行動をともにすることが多々あった。静岡での野球教室へは、運転席と助手席で他愛もない話で盛り上がりながら移動。入院中は数分のテレビ通話で寂しさを紛らわせた。趣味のゴルフや釣りでも、のんびりと時間を過ごす。「ずっとではないですけど、知らないうちに一緒にいますね」。大阪・舞洲のグラウンドにも、2人で顔を出す。喜怒哀楽を共有し、全幅の信頼を置く「最高で最強のパートナー」。哀しみと喜びの波間に流されない、大きな夢を描く。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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