郵便局員が“部活コーチ”兼任 過疎地域にも光…中学教員の負担減らす「人材発掘」

地域移行に揺れる中学部活を支援…「ブカツ・サポート・コンソーシアム」にミズノら4社が参加
少子化や教員の働き方改革を背景に、地域移行・地域展開が推し進められている公立中学部活動を支援しようと、企業が円陣を組んでいる。昨年スポーツデータバンク、三井住友海上火災保険、日本郵政の3社で設立された「ブカツ・サポート・コンソーシアム」に、新たにルネサンス、ミズノ、hacomono、TOPPANホールディングスの4社が加わることになり、12日、東京都内で会見が行われた。各企業の知見と専門性、そして人材を活用し、様々な課題に直面する中学軟式野球を含めた“ブカツ”の支援に当たっていく。
中学部活の機能を民間クラブなどに委ねる地域移行は、この4月に改革推進期間の3年目を迎え、2026年度からはいよいよ実行期へと突入していく。その中で同コンソーシアムは、企業や団体、大学や研究機関などが連携して、岐路に立つ部活を支援すべく設立された。今回加わった企業では、ルネサンスは指導者派遣や施設などの練習環境の提供、ミズノは用具提供や契約選手による指導の実施、hacomonoは運営管理のデジタル化、TOPPANホールディングスはトレーニングシステム提供による指導効率化、などをサポートしていくという。
課題が山積する地域移行だが、中でも大きなものの1つが「外部指導者の確保」だ。各地域に潜在する「教えたい」意欲を持つ“質の高い”人材の掘り起こしや、指導を委ねたい学校側とのマッチングは、特に人口の少ない地域ほど改革の成否の鍵を握る。
同コンソーシアムは、設立した昨年9月から沖縄県の教育委員会との連携をスタート。人口6000人余りの宜野座村で、競技経験のある郵便局員へ日本スポーツ協会(JSPO)の資格取得などを支援し、バドミントン地域クラブの指導者に育てる実例を作った。筆頭理事であるスポーツデータバンク代表の石塚大輔氏は「人口規模が少ないところでも、外部の人材を教員に代わる指導者にする実績ができた。これまでは競技経験のない部活の顧問を務めなければいけない先生方もいたが、そうした負担を減らす上でも歓迎されている」と語る。
また、部活のクラブ化による保護者への金銭的負担や指導員への報酬など、運営での財政面も大きな課題だ。これまでも軟式野球などスポーツ部・文化部の用品やウエアに関わってきたミズノでは「新しい(クラブ)チームのユニホームのデザインワークなども手伝うことを考えており、なるべく負担のかからない形にしていきたい」(長沼秀一執行役員)。同コンソーシアムでも企業版ふるさと納税の活用などの自治体との連携を見据えつつ、「いずれは地域の大人たちを巻き込んで、大人がクラブの利用料などを支払い、それを子どもたちの活動に活用していく。地域の中で循環していく仕組みを作れれば理想」と石塚氏は語る。
いずれにせよ、目指すべきは成長期の子どもたちを、いかにより良い未来へ導いていけるか。賛同する企業や団体が増え、人材や知見が増すことで、より良い課題解決策が導き出されていくことに期待したい。
(First-Pitch編集部)
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