キャッチボール疎かな子に「成長はない」 ホークスJr.が“異例練習会”を行うワケ

昨年の12球団ジュニアトーナメントで優勝したホークスジュニア【写真:加治屋友輝】
昨年の12球団ジュニアトーナメントで優勝したホークスジュニア【写真:加治屋友輝】

連覇目指す福岡ソフトバンクホークスジュニアが4・5月に小学5・6年向け練習会実施

 逸材発掘のヒントは「キャッチボール」にあり――。昨年の「NPB12球団ジュニアトーナメントKONAMI CUP2024~第20回記念大会~」で優勝した福岡ソフトバンクホークスジュニアは、球団OBの嘉弥真新也さんを新監督に迎え大会連覇を狙っている。4、5月には選考会に先立って練習会を実施予定。嘉弥真監督は「キャッチボールの上手さで大体の良し悪しがわかる。上手い選手を見たいですね」と期待を寄せる。

 練習会は入団を目指す小学5、6年生の男女が対象。4月下旬と5月下旬に球団のファーム本拠地「タマホームスタジアム筑後」で実施する。「ラプソード」などの機器を活用してピッチングスピード、スイングスピード、30メートル走を測定し個々の能力や成長を可視化するほか、嘉弥真監督らによる、ジュニア選考会で重視されるポイントの伝授や投球・打撃の技術指導なども行う予定だ。

 選考会の前に練習会を開くのは12球団初の試み。選手の段階的な成長を促すことや、遠方の入団希望者にいち早くホークスジュニアの野球を知ってもらうことなどを目的としている。

 嘉弥真監督は練習会で選手個人の数値を見るのはもちろん、夏に行われる選考会も含めて「キャッチボールで足を使って自然に捕り、しっかり踏み出して相手に投げ返せているかどうかを見ます」と目を光らせる。嘉弥真監督自身、「ピッチングよりも集中して取り組んでいました」と話すほどキャッチボールに重きを置いてきたからだ。

子どもたちを指導する嘉弥真監督(右)【写真:福岡ソフトバンクホークス提供】
子どもたちを指導する嘉弥真監督(右)【写真:福岡ソフトバンクホークス提供】

忘れられない工藤監督の言葉「キャッチボールができないとクビになるぞ」

 嘉弥真監督は昨年まで福岡ソフトバンクと東京ヤクルトで13年間プレーし、通算472試合に登板して137ホールドを挙げた。キャッチボールを特に意識するようになったのはソフトバンク時代。当時の工藤公康監督に「キャッチボールを疎かにする選手はすぐにクビになるぞ」と発破をかけられた。

 同じリリーフ左腕の先輩である森福允彦さんからも「ボールの回転や腰の使い方、グラブの位置を考えながら真剣にやったほうがいい」と助言を受け、自主トレ期間やキャンプ、シーズン中にひたすら2人でキャッチボールに勤しんだこともある。

 嘉弥真監督は自身の経験を根拠に、「投手も野手も、キャッチボールができないと野球はできない。肩慣らし程度にやっている子の成長はないと思います」と言い切り、「手だけで捕りに行っていないか。捕球から送球への切り返し動作ができているかなど、日頃から1球1球意識して取り組んでほしい」とアドバイスを送る。

 加えて、練習会では選手の「伸び幅」にも着目する。練習会は2度開催されるが、参加選手には期間の空く1か月間、若林隆信コーチ、三代祥貴コーチとともに考案した自主練習用の課題ドリルに取り組んでもらう。2度に分けて同じ数値を測定することで、短期間でどれだけ伸びたか、また、どれだけ自主練習に真剣に取り組めたかが明確になる。

「帆足和幸前監督からは『子どもの成長スピードはすさまじく早いから見といてくれ』と言われました。1か月でどれだけレベルアップできるか注目しています」と嘉弥真監督。逸材小学生の成長をリアルタイムで実感するのを楽しみにしている。

(川浪康太郎 / Kotaro Kawanami)

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