球速が一冬で15キロアップ 打者にも変化が…全国連覇の強豪が見直した「身体操作」

星稜中・服部成【写真:奥田泰也】
星稜中・服部成【写真:奥田泰也】

中学軟式で全国連覇を果たした星稜中・五田監督「下位打線でも捉える打球が多かった」

 体の“基礎能力”を見直し、日本一を手にした。3月に行われた中学軟式野球の全国大会「文部科学大臣杯 第16回全日本少年春季軟式野球大会ENEOSトーナメント」で、連覇を果たした石川・星稜中。最速147キロ右腕の服部成投手(3年)らタレントぞろいのチーム力で圧倒したが、五田祐也監督は「下位打線でも捉える打球が多かった。体の使い方を入れたことが大きかった」と、一冬越え成長したポイントを口にしていた。

 春の日本一を決める決勝戦は投打が噛み合い、作新学院中を8-0で破った。2回に6本の長短打を集め6点を奪うと、5回にも2死走者なしから2本の適時打でダメ押しとなる追加点。投げては服部-竹山舜内野手(3年)-服部の完封リレーで締めくくった。

 5日間で6試合とタフな日程を戦い抜き、打撃陣は計30得点、投手陣はわずか計3失点と力を発揮。五田監督は「エースの服部以外の投手も頑張ってくれた。球数制限もあるなかで、全国の舞台は投手が2枚ではなく3、4枚は必要。打線は冬にやってきた成果を出してくれた」とナインたちを称賛した。

 充実した投手力もそうだが、今大会で印象的だったのは各打者の“捉える力”だ。軟式は硬式に比べインパクトの際にボールが潰れ、しっかりと捉えなければ前に飛ばない。そんななかでも地を這う強烈なゴロ、ライナー性の打球が外野を襲う場面が数多く見られた。

マウンドで喜ぶ星稜中ナイン【写真:奥田泰也】
マウンドで喜ぶ星稜中ナイン【写真:奥田泰也】

一冬越え132キロ→147キロの球速アップに成功「体重移動や投球フォームがしっくりくる」

 最新の理論を導入し練習量もこなしながら、個々のポテンシャルを上げていく星稜中。今オフ、新たに取り入れたのが「体の使い方を見直す」ことだった。オリックス・森友哉捕手の専属トレーナーを務める久米健夫氏を招聘し、器具に頼らない自重トレーニングや身体操作を高めることを徹底した。その効果を五田監督はこう口にする。

「まだ振る力がなく、どちらかというと“当てる”チーム。いいものはあるが、それを発揮できず振り幅が小さいイメージでした。体の硬い子、体をコントロールできない子が多かった。それが、久米さんに指導を依頼したことで、体の使い方を覚えて振れる選手が育ってきた。下位打線でも鋭い打球を打てるようになったのは本当に大きかったですね」

 エース兼主将、打っては1番打者としてチームを支えた服部も、体の変化を実感していた。昨年まで132キロだった球速は一冬を越え最速147キロまで一気に成長。変化球の精度、制球力もアップし名実ともに中学軟式No.1投手となった。「体重が増えたこともありますが、体重移動や投球フォーム、リリースポイントなどしっくりくるようになった」と、振り返っていた。

 星稜中の次なる目標は4年振りとなる夏の日本一。春は圧倒的な強さを見せつけたが「夏は暑さも加わる。体力アップ、投手力の強化などやるべきことは多いです」と五田監督。連覇を果たしても慢心することなく、さらなるレベルアップを目指していく。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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