現代っ子が失う“複合的スピード”を養う方法は? 元ドラ1推奨「米国流エクササイズ」

西武のベースボールアカデミーコーチ・白崎浩之氏が実感する子どもたちの変化
ひと昔前のように、公園やグラウンドで自由に遊べた頃と時代は変わった。子どもの運動能力低下を感じている指導者は少なくない。DeNAとオリックスでプレーし、現役引退後は埼玉西武ライオンズのベースボールアカデミーコーチを務めている白崎浩之さんもその1人だ。Full-Countでは、野球などのスポーツ界で活躍する専門家・トレーナーに子どもの「運動神経向上」をテーマに取材。白崎さんは、創意工夫をしながら、時代に合わせた練習メニューを提案している。
白崎さんはドラフト1位でDeNAに入団し、移籍したオリックスを含めて計8年間NPBに所属した。現在は西武のベースボールアカデミーコーチとして小・中学生を指導。子どもたちと接する中で、ある変化を感じているという。
「自分が子どもの頃と比べて、スピードが遅くなっていると感じます。50メートル走のタイムだけを比べたら、トップクラスの子どもは昔より速くなっているかもしれません。しかし、野球で大切になる“速さ”、瞬発力という面では遅くなっていると感じます」
野球で足の速さは武器になる。ただ、陸上競技のように決められた距離を真っすぐ走るわけではない。例えば、守備では打球に反応する1歩目の速さや、打球まで最短距離で動くスピードが必要になる。白崎さんは「野球は瞬時の動きや複合的な動きが求められます。状況判断を含めた速さも重要です」と説明する。
スピードを向上させる上で、白崎さんが重要視するのが野球以外の経験だ。自身は子どもの頃、空いている時間に友人と集まってサッカーや卓球、鬼ごっこなど野球以外の遊びを楽しんだという。子どもの頃、幅広い競技や遊びを通じて自然と身に付けた、動きのバリエーションや体の強さ、スピード感が野球に生きたと考えている。
「例えば、守備や走塁の構え方はテニスに似ています。バスケットも低い姿勢を取ります。瞬時に動くスピードを高めるヒントが野球以外にもあるわけです」

推奨は米国発祥の“アニマルフロー”…「楽しみながら覚えることが大事」
北海道で生まれ育った白崎さんは、外で遊ぶ環境に恵まれていた。今の時代、特に都市部では公園や広場が少なく、ボール遊びが禁止の場所も多い。白崎さんは、子どもたちの体を動かす機会が大幅に減った現状に「今の子どもには昔と違って色んな制限がかかっています。子どもたちが運動する機会をつくるのは大人の役割でもあります」と語る。
時代の変化を、運動機会の減少や能力低下の言い訳にしたくない――。そこで、白崎さんは、アカデミーでの指導に加えて、自宅でもできるメニューを子どもたちに提案している。
その1つが、米国発祥の「アニマルフロー」。これはクマやコモドドラゴンといった動物の動きを取り入れた全身運動で、柔軟性や筋力、バランス感覚など、運動能力を総合的に向上させるエクササイズとなっている。白崎さんがアニマルフローを推奨する理由を説明する。
「スピードは、練習やトレーニングで、すぐに成果が表れるものではありません。野球に必要な体の使い方を継続して、楽しみながら覚えることが大事だと考えています。公園や家の前で練習するのが難しい子どもでも続けられますし、家の中で体を動かしていると、家族も興味を持ちます。その時にメニューの目的などを説明するアウトプットも大切だとアカデミーでは伝えています」
ライオンズベースボールアカデミーでは各コーチが、情報収集をしながら指導方法をアップデートし続けており、白崎さんも指導の引き出しを増やす意識が強い。21日から開催されるイベント「運動神経向上LIVE」で、その知識や練習法の一端を明かしてくれる。
白崎浩之さんも登場…子どもの運動神経向上に役立つトレーニングを紹介!
Full-Count、First-Pitchと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では、4月21日から5夜連続でオンラインイベント「運動神経向上LIVE」を開催します。足の速さなどの俊敏性を身に付ける方法は? バットやボールの扱いをうまくするには? 選手や指導者、保護者が知りたい、野球などのスポーツ上達に必須の能力向上につながる練習法を、豊富な実績を持つ指導者・トレーナー陣がアドバイスします。参加費は無料。出演者などの詳細は以下のページまで。
【運動神経向上LIVE・詳細】
https://first-pitch.jp/article/coaching-methods/20250403/10330/
【参加はTURNING POINTの無料登録から】
https://id.creative2.co.jp/entry
(間淳 / Jun Aida)
球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。
■「First-Pitch」のURLはこちら
https://first-pitch.jp/
