YouTubeは「ガンガン見るべき」 根強い“毛嫌い”も…プロ大量輩出監督の見解「捨て方は後で」

富士大学・安田慎太郎監督【写真:伊藤賢汰】
富士大学・安田慎太郎監督【写真:伊藤賢汰】

富士大・安田慎太郎監督は媒体を通じて情報収集…最新の理論をインプット

 選手がYouTubeなどの動画サイトで、野球の技術に関する情報を集めるのを毛嫌いする監督・コーチは少なくない。そんな中、富士大(岩手・花巻市)の安田慎太郎監督は、「選び方や捨て方は後から教えるので、情報はあった方が良い。そのためにもYouTubeはガンガン見るべき」とむしろ推奨している。昨秋のドラフトで、早くも1軍で活躍中のオリックス1位指名・麦谷祐介外野手ら6人をNPBに輩出した指揮官の真意とは。

「よく『YouTube問題どうしてる?』と(他の指導者から)聞かれることがありますが、自分としては『問題なの?』という感覚です。僕がYouTubeの話をして選手に伝わらなかったら、『携帯を触るならもう少し野球のことを見ろよ』と思ってしまいます」

 安田監督は東北学院大を卒業後、NPB入りを目指してクラブチームや国内外の独立リーグでプレーした。しかしドラフト指名は叶わず、「自分がプロに行けていないので、同じことをやらせたらアウト」との考えで、現役引退後は指導者になるために一から野球を学んだ。監督就任6年目を迎える今でもYouTubeなどの媒体を通じて情報収集し、最新の理論をインプットしている。

 技術向上を目指す上で、指導者も選手も情報収集は必須事項。自身がその手段の1つとしてYouTubeを活用しているからこそ、選手にも禁止するどころか推奨する。

野球指導者の長坂秀樹氏(左)を招聘し選手を指導する【写真:伊藤賢汰】
野球指導者の長坂秀樹氏(左)を招聘し選手を指導する【写真:伊藤賢汰】

SNSで直接依頼も…「世界観」広げるため外部コーチ招聘

 また、安田監督は野球指導者の長坂秀樹氏、キャッチャーコーチの緑川大陸氏ら外部コーチを積極的に招聘し、選手たちが多種多様な考えに触れる機会を創出している。

「地元の高校から出てきて、ここ(富士大)の世界観だけでやってしまうとリミッターが外れない。いろんな人がいて、いろんな野球があるということ、自分の思っている野球の範囲がどれだけ小さいのかということを知ってもらいたいんです」

 日頃からSNS上であらゆる指導者の投稿をチェックし、選手の「世界観」を広げてくれそうな指導者を探している。ダイレクトメッセージを送って指導を依頼することもあるという。安田監督は「昔からあるような指導はすでに知っているので、新しく、なおかつ良い指導をしている方を呼ぶケースが多いですね」と話す。

 集めさせた情報の取捨選択やアレンジのサポートをするのは、監督・コーチの仕事だとも考えている。動画サイトで得た知識や、外部コーチに教わった理論をどう試合に生かすか。それは「現場」でしか調整できない。

「技術だけですべて片付くのが理想ですが、試合の中ではそうはいかない。技術は必要なだけであって、技術がメインになると結果を出せない選手になってしまう。『練習ではいいんだけどね』という選手は上のカテゴリーには進めません」。1人でも多くの教え子をプロの世界へ送り出すため、新しい情報とその活用方法を追求し続ける。

(川浪康太郎 / Kotaro Kawanami)

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