ノックで平らな地面は使わない? 筒香兄弟が実践…身体&思考能力を高める“野生環境”

アラボーイズ代表の筒香裕史氏【写真:伊藤賢汰】
アラボーイズ代表の筒香裕史氏【写真:伊藤賢汰】

「和歌山橋本Atta boys(アラボーイズ)」の指導方針はドミニカ共和国での野球文化をヒントに

 普段の練習にひと工夫するだけで、自然に体が反応していく。DeNA・筒香嘉智外野手が故郷の和歌山に設立した少年硬式野球チーム「和歌山橋本Atta boys(アラボーイズ)」ではあえて厳しい環境を作り、ノックを行っている。今回は身体機能を高める「坂道ノック」を紹介する。

 2023年に設立された「アラボーイズ」は、筒香が2億円の私費を投じて故郷に建てたスポーツ施設「TSUTSUGO SPORTS ACADEMY」を拠点に活動している。天然芝の球場にサブグラウンド、室内練習場と豪華な設備が揃っているが、練習内容は“野性味”溢れたものばかりだ。

 同チームで代表を務めるのが、筒香の兄・裕史さん。かつて訪れたドミニカ共和国での野球文化にヒントを得て、身体能力を伸ばし将来を見据えた指導を行っている。そのひとつが「坂道ノック」だ。

 ノッカーは上り下りの斜面を両方を使いゴロを打ち、選手たちは不規則に動くゴロを必死にキャッチしていく。捕球後にノッカーの近くに置いた箱までボールを入れるのが1セット。秒数を決め、遊び感覚を持たせているのも特徴だ。

 平坦な地面ではなく坂道を使う意図を、裕史さんは「坂道を使うとスピードに乗って走るのは難しいです。そこにはストップの要素もあり、ボールに合わせる感覚も必要。どこでスピードを出すか、止まるか。秒数以内で終えるためにはどうすればいいかを子どもたちも考えます」と説明する。

坂道でノックする筒香裕史氏【写真:伊藤賢汰】
坂道でノックする筒香裕史氏【写真:伊藤賢汰】

 ゴロのバウンドを合わせられずうまく捕れなくても「まずは挑戦すること。行動に移すことが大事」と裕史さん。子どもたちにとっては、技術以上に体を扱う能力を身につけることが将来に繋がる。スケールの大きな選手育成を目指し、アラボーイズは工夫を凝らした練習に取り組んでいる。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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