靱帯損傷、手術から復帰…2年ぶりの感触も「苦しいです」 来秋ドラフト候補の苦悩

9回に本塁打を放った明大・内海優太【写真:加治屋友輝】
9回に本塁打を放った明大・内海優太【写真:加治屋友輝】

明大の3年生4番・内海、同点の9回に決勝のリーグ戦2号

 東京六大学野球春季リーグは10日、明大が立大1回戦に2-1で勝利を収め先勝した。3年生の4番・内海優太外野手が1-1の9回に決勝ソロ。2年ぶりのリーグ戦2号でチームを開幕5連勝(1分け挟む)に導いた。

 8回に同点に追いつかれて迎えた9回無死。カウント3-1からの内角直球を捉えた内海の打球は、右翼席中段で弾んだ。「もう狙っていました。打った瞬間、いったなという感じ。(先発投手の)毛利(海大)さんが頑張っている中で、なかなか援護がないところで、終盤に一本出せたのは良かったです」。

 プロ野球開催日で延長戦がない状況。土壇場で飛び出したチームを救う一発を、戸塚俊美監督も「なんとなく(打ちそうな)雰囲気があった。4番として、いいところで打ってくれた」と手放しで称えた。

 広陵高では高校通算34本塁打。銅メダルを獲得した「WBSC U-18ベースボールワールドカップ」(米フロリダ州サラソタ)では高校日本代表の4番を務めた逸材だ。明大では1年春からリーグ戦に出場し、慶大戦では代打でリーグ戦初本塁打を放つなど、打率.333と上々の大学デビューを飾った。

 だが、同年秋の練習中に左膝を負傷。前十字靭帯損傷の重傷で手術を受け、長期離脱を余儀なくされた。「野球を(怪我なく)ずっとやっていたら考えなかったこと、打撃の細かいとかを考えたり、体づくりとかに取り組めた。いい時間だったかなと思います」。前向きに捉え、長いリハビリを経てリーグ戦に復帰したのは昨秋。代打で3試合に出場して1安打を放った。

宗山先輩からのLINE…ドラフト候補・小島不在の危機救った

 膝の不安がなくなった今春は、最初のカードとなった4月19日の東大戦から全試合4番でスタメン出場。ただ、この試合の前までは24打数4安打で打率.167、長打0本と不本意な成績だった。「ずっと苦しい結果が続いていました。結構、インコースを攻められて自分の中で意識しすぎていたというのはあります」。神宮球場は打率がスコアボードに出るため、嫌でも不調が視界に入る状況は「苦しいですね……」と吐露した。

 そんな中、高校、大学の先輩で、昨秋ドラフトで5球団が競合し楽天に入団した宗山塁内野手から、LINEで「徐々に上げていけ」と連絡を受けたという。頼れる先輩からの言葉は何よりの励みになる。さらに、これまで3番を担ってきた、今秋ドラフト候補の小島大河捕手が前カードの慶大戦で左脇腹を負傷。肋骨骨折が判明してベンチを外れ「小島さんが今日はいなかったので、その分も自分がやってやるぞという気持ちはありました」と奮起して大事な局面での大きな一打につなげた。

 2年ぶりに飛び出した、来秋ドラフト候補の復活を告げるアーチ。「チームの勝ちにつながったのはすごく自信になる。いいイメージを持って、またあしたからも勝ちにつなげたい」。前回本塁打を放った2023年春は優勝しており、リーグ戦2号は吉兆とも言える。唯一無敗を守る明大の4番に当たりが戻ったのは心強い限り。内海のバットとともに、4季ぶり優勝へ勢いを加速していく。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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