「小さな町の大きな挑戦」が示す女子野球の力 王貞治氏も注目した地域振興の形

認定自治体が初サミットを開催して意見交換
全日本女子野球連盟は9日、東京・両国の第一ホテルにて「第1回女子野球タウンサミット2025」を開催。野球界のレジェンド・王貞治氏(現ソフトバンク球団会長兼特別チームアドバイザー)がスペシャルゲストとして登壇する場面もあり、女子野球の発展に向けて熱いトークセッションが展開された。
女子野球タウン認定事業は、女子野球をシティプロモーションとして活用して地域の活性化を目指す画期的な取り組みとして2020年9月にスタートした。認定された自治体は連盟と密接に連携し、大会開催や女子野球教室などの普及活動を展開。さらに地域の観光資源や特産物と女子野球のコラボレーションを通じて、互いのリソースを最大限に活用している。
女子野球タウンサミットは今回が初の試みとなる画期的な取り組みだ。冒頭では墨田区長・山本亨氏による温かい歓迎の挨拶があり、続いて全日本女子野球連盟の山田博子氏が開会の挨拶と、女子野球発展への強い決意を表明した。
「女子野球タウンの構想を練ってから、いつかこうしたサミットを実現したいと思ってきました。みなさんが集まっている光景を見て感無量です」
王貞治氏は「みなさんの熱を感じました」
そう語った山田氏は「野球は人を幸せにするコンテンツ」と続け、女子野球の新たな構想も披露。女子野球タウンの名称を活用した新たなビジネス展開、または海外選手の積極的な誘致、女子野球タウンの国際交流など、発展に向けた施策を目指したいと語った。
「女子野球が『当たり前の文化に』というミッションを、みなさんと共有していきたい」という山田氏の言葉にも、参加した自治体の関係者やスタッフも大きな刺激を受けた。
全国各地から女子野球タウンに認定されている自治体が参加した今回のサミット。女子野球タウン第1号として認定された愛媛・松山市をはじめ、18の自治体が会して地域の特色を活かした女子野球振興の取り組みが報告された。会場には各自治体のPRブースも設けられ、地域とともに広がる女子野球の熱気が紹介された。
人口約3000人で「小さな町の大きな挑戦」とうたう島根・川本町も女子野球タウンの一つなのだが、そんな自治体の“女子野球愛”を含んだタウン紹介を聞いたスペシャルゲストの王貞治氏は「みなさんの熱を感じました」と感銘を受けた様子。「この野球の波のうねりを大きくしていきたい」とも語り、野球界全体の発展も願った。新たな可能性を探った初のイベントには、女子野球の新たな未来が詰まっているようだった。
(佐々木亨 / Toru Sasaki)