新助っ人4番に“大活躍の予感” コーチが評価する魅力…言葉に滲む謙虚な性格

2度目の猛打賞で今季打率.274、得点圏打率.343に上昇
来日1年目のタイラー・ネビン外野手が西武の4番に定着し、打率.274、得点圏打率.343(成績は16日現在、以下同)と勝負強さを発揮している。
西武は16日にベルーナドームで行われたオリックス戦に3-0で勝ち、2位に浮上した。「4番・一塁」で出場したネビンは初回、2死二塁のチャンスに第1打席を迎えると、オリックスの先発右腕アンダーソン・エスピノーザ投手が真ん中高めに投じた150キロのツーシームをしぶとく右翼線に運び、チームに先制点をもたらした。「エスピノーザに素晴らしいツーシームがあることはわかっていました。内角寄りの球をイメージし、食い込んでくるツーシームに差し込まれないことを意識していました」とうなずいた。
3回の第2打席で四球を選ぶと、5回の第3打席で左前打、8回の第4打席でも遊撃内野安打を放って出塁し、3打数3安打1打点1四球。自身2度目の“猛打賞”もゲットした。
4月25日のオリックス戦以降、最近18試合連続で4番を務めている。軸が固まると、1番・西川愛也外野手、2番・滝澤夏央内野手、3番・渡部聖弥外野手も固定され、不動のオーダーとなりつつある。ネビンが4番の役割を果たしていることは、高い得点圏打率に表れているが、本人は「前を打つ打者が非常にいい仕事をしている。彼らの仕事を無駄にしたくないから、なんとかホームに返したいという思いで打席に入っています。最近まで(渡部)聖弥が打ち過ぎていて、自分の仕事はないくらいだったけれど、打点を稼げるようになってうれしいです」と至って謙虚だ。
3本塁打、チームトップの20打点もマーク。仁志敏久野手チーフ兼打撃コーチは「どんな投手、どんな球種、どんなコースにも対応し、コンタクトできるのが一番いい所。“全くダメ”という打席が少ない」と評価。ネビン自身「そこは自分の強み。対戦するに当たっては相手をしっかり研究し、アプローチを変えるようにしています」とクレバーな一面をうかがわせる。
今季開幕3連戦に父も来日…ファンを驚かせたインスタ投稿
日本ではまず“大谷の元指揮官の息子”として認知された。父は大谷翔平投手が在籍した一昨年のエンゼルスで監督を務めていたフィル・ネビン氏。3月28日から本拠地で行われた日本ハムとの今季開幕3連戦には、父が来日し観戦。親子で西武線に乗る様子をネビンが写真に撮ってインスタグラムに投稿し、野球ファンを驚かせた。「父は大学米国代表やMLBオールスターズの一員として何度から日本に来ているけれど、球場のファンの熱気に改めて驚いていました」と明かす。
一塁守備でも好守を連発している。MLBのアスレチックスに在籍した昨季は、三塁や外野も守ったが、今季はもっぱら一塁、もしくはDH。本人は「スタメンで使ってもらっていること自体がうれしい。ポジションにこだわる性格ではなく、どこでもプライドを持って全力でやります」とここでも謙虚だが、西口文也監督は「本人も『ファーストが一番好きなポジション』と言っていたし、彼のお父さんも(来日した時に)『ファーストが一番上手い』と言っていましたよ」と明かして笑った。
就任1年目の西口監督の下、最下位に沈んだ昨季とはひと味もふた味も違う戦いを展開している西武。その中でも、新助っ人が4番の役割を果たしている意義は大きい。もはや“ネビン氏の息子”でなく、独自の魅力を放ってファンに浸透しつつある。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)