「バットの芯に当たらない」…小中学生の悩みの要因は? 打撃動作で起こる“3つのブレ”

小中学生の打撃に多い“3つのブレ”とは(写真はイメージ)
小中学生の打撃に多い“3つのブレ”とは(写真はイメージ)

元ライオンズ・レディース山崎まりコーチ解説…外角球の飛ばし方と“ブレの要因”

 男子選手と一緒にプレーした学生時代から女子のプロチームへ進み、追い求める打撃は変化した。元埼玉西武ライオンズ・レディースの内野手で、現在は株式会社西武ライオンズが運営するベースボールアカデミーのコーチに就いている山崎まりさんはプロに入ってから、コンタクト率を重視する打撃から長打も狙う打撃にモデルチェンジした。その経験や知識を指導者となった今、子どもたちに伝えている。

 山崎さんは野球を始めた小学生から硬式野球部に所属した大学生まで、チームメートは男子選手ばかりだった。パワーで男子選手と勝負できないため、打撃ではバットの芯で捉えるコンタクト率を磨いた。

 男子と一緒に練習やトレーニングをしていたこともあり、山崎さんは自然と筋力が鍛えられていた。昨年まで所属した埼玉西武ライオンズ・レディースなど女子チームでは、打率だけではなく長打力も強化した。実際、本塁打を放ったり、リーグのシーズン最多三塁打を記録したりしている。

「カテゴリーや年齢で打ち方を変えていきました。プロになってからは魅せるプレーもしたい気持ちがあり、本塁打を打てる飛距離にこだわりました。特に女子野球は右翼方向へ長打を打てるかどうかが、中軸を任される上で重要になります」

 女子野球では一般的に、右翼手が浅めに守備位置を取ってライトゴロを狙う。そこで、右打者の山崎さんは右翼手の頭を越える打球を追求した。そのために意識していたのは「外角の投球をバットに乗せる感覚」。今年4月からコーチを務めるライオンズベースボールアカデミーでも小・中学生に外角の球を逆方向へ強く飛ばすコツを伝えている。

「逆方向へ長打を打つには、バットに投球が当たった瞬間に少しだけヘッドがそのままの状態になる時間をつくる意識を持ちます。バットと投球が接する時間を長くすることで、飛距離が出ます。ヘッドを早く返してしまうと打球は力強さを欠いてしまいますし、引っかけたゴロになりやすいです」

ライオンズベースボールアカデミー・山崎まりコーチ【写真:間淳】
ライオンズベースボールアカデミー・山崎まりコーチ【写真:間淳】

バットにボールが当たらない…主な要因の1つは「目線のブレ」

 山崎さんは現役時代、外角のストライクゾーンいっぱいのコースに目印を付けて素振りをしたり、ティースタンドを使った練習を繰り返したりした。その際に「バットが水平になる時間を少しでも長くするイメージ」でスイングし、外角への対応力を上げていった。

 アカデミーには、バットの芯に投球が上手く当たらず、コンタクト率に悩む選手も多い。山崎さんは最も多いエラー動作に「目線のブレ」を挙げる。目線がブレやすくなるのは、主に3つのタイミングがあると指摘する。

【1】足を上げた時に体が伸びて目線が上がる
【2】足を下ろした時に頭や体が前に突っ込んで目線が下がる
【3】バットを振る時に目線が上下に動く

 例えば【1】のケースでは、軸足一本で立つ筋力やバランス感覚の不足が原因に考えられる。その場合は、腰に両手を当てて片足で立つメニューや、両手を肩の高さより上げて片足で立つメニューを取り入れて、どこに課題があるのか見極める。山崎さんは「両手を上げて片足で立つとバランスを崩す選手は、バットの重さが加わると軸足でうまく立てない課題があります。選手の動きを見ながら個々にあったアドバイスをして、練習メニューを提案しています」と話す。

 男性指導者と比べて小・中学生の体格や筋力に近い女性指導者は、より近い目線で指導できるメリットがある。さらに、山崎さんは男子選手とプレーした経験や打撃のモデルチェンジが指導の引き出しになっている。

(間淳 / Jun Aida)

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