NPB行きも「考えていた」 異国で20勝覚醒…MLBドラ1右腕が語る“アジアでの学び”

KBOで投手3冠に輝きメジャーに復帰した右腕
アジアでの活躍を経て、メジャーに返り咲いた右腕がいる。カージナルスに所属するエリック・フェッディ投手が、Full-Countの取材に応じ、韓国球界での学びを語った。「韓国での経験は何事にも代えがたいよ」。メジャーでは結果を残せずKBOへ。20勝を挙げて出戻りし、安定感のある投球を披露している。
2014年ドラフト1巡目(全体18位)指名でナショナルズに入団。球界有数の有望株右腕と評価され、2017年にメジャーデビューを果たした。しかし、期待されたような結果とはいかず、通算6年で21勝33敗、防御率5.41。2022年オフにFAとなると、メジャーから魅力的なオファーはなく、真っ先に手を挙げたNCダイノス入りが決まった。
「異国の地だったからね。少し不安はあったよ。言葉やチームメートについて最初はわからなかったから」。それでも30試合に先発して20勝6敗、防御率2.00という好成績をマーク。「韓国でチャンスを貰って、試合終盤まで投げられる投手になった。経験は今の大きな助けになっているよ」。翌年にホワイトソックスが獲得すると、7勝4敗、防御率3.11をマークし、7月には上位を狙うカージナルスがトレードで獲得。2球団で31試合に登板して自己最多9勝(9敗)、防御率3.30でシーズンを終えた。
フェッディが投球の軸としていた動く速球(シンカー)にKBOの打者は大苦戦。さらにスイーパーとチェンジアップに磨きをかけ、2021年に68球投げて被打率.353だったスイーパーは、2024年は583球を投げて被打率.165と、大きな武器に成長。シンカーに自信が付くと、球速差のあるチェンジアップがより効果的に使えるようになった。
NPBに「もしかしたら行っていたかも」
メジャーと韓国の違いについては「やっぱりパワーかな」と指摘。「一方で韓国の方が粘られるから、三振を奪いづらい」と分析した。
2023年オフには、韓国メディアはNPB球団も興味を示していると報道。当の本人に正式なオファーは無かったというが、「NPBも考えていたよ。行く可能性もあった。幸運なことにMLBからいいオファーを貰えたけど、日本からもオファーがあれば間違いなく検討していた」と話した。
今季はここまでチーム最多13試合に先発して防御率3.54とローテーションを支えている。7日(同8日)のドジャース戦では6回途中無失点の好投を披露した。「今はとても自信をもって投げられている。それは大きなことかな。韓国でプレーしたことで、ここ(MLB)に来る人たちの気持ちをより理解できるようになれたんだ。異文化に適応する難しさだったり、その凄さを感じたよね。私たちはいつも完璧なキャリアを描いてしまうけどね」。異国でのプレーは、野球選手としても人としても、成長するきっかけになった。
(上野明洸 / Akihiro Ueno)