ド軍采配に専門家が”苦言” 看過できなかった状況「一番いけないこと」…残る後味の悪さ

大差でリード中の野手登板、新井宏昌氏が疑問視
【MLB】ドジャース 13ー7 ナショナルズ(日本時間23日・ロサンゼルス)
ドジャースの“キケ”ことエンリケ・ヘルナンデス内野手が22日(日本時間23日)、本拠地で行われたナショナルズ戦の9回に登板。10点リードした場面でマウンドに上がったが、試合を終わらせることができず、救援陣に後を託した。メジャーリーグでは大差がついた展開で野手が登板するケースは珍しくないが、E・ヘルナンデスは早くも今季5度目。現役時代にNPB通算2038安打を放ち、MLBにも造詣が深い野球評論家・新井宏昌氏は勝っている試合での起用に疑問を呈した。
「負けている試合だったらいいと思いますけど、10点差とはいえ勝っている試合ではどうなのかなと思いますね。ドジャースはあした(23日=日本時間24日)試合がないですし、他にも勝ちパターンのピッチャーはいたはずです。勝っているときの野手起用は、あまり良くないと思いますし、通常のピッチャーを出してほしいですね」
13-3の場面で5番手のE・ヘルナンデスが6月3度目で今季5度目のマウンドに上がるとスタジアムは熱狂。だが四球、二塁打、四球で満塁とされると、中前適時打を許して1点を返された。さらに左犠飛で8点差とされると、続く打者に四球を与えて再び満塁。デーブ・ロバーツ監督はたまらず救援専門のべシアを6番手のマウンドに送った。
べシアは犠飛と適時打を許したものの、なんとか後続を断って13-7で試合終了。まだ点差に余裕があったとはいえ、後味が良くない終わり方だった。E・ヘルナンデスは結局、打者6人に2安打3四球。新井氏は「キケはあまり良くなかったですね。四球を出しますから。ストライクゾーンに投げれば、野手が守っているところに結構いくものなんです。オーバーフェンス以外ならいいので、四球で走者をためるのが一番いけないこと」と“苦言”を呈した。
今季のドジャースは先発では佐々木、スネル、グラスノーらが相次いで負傷者リスト(IL)入り。救援陣もトライネンらが離脱して全体的に手薄となっている事情がある。新井氏は「大差で負けている場合は“降参”できたらいいと思う」と以前にも主張した“ギブアップルール”の提案を改めて口にした。
ただ、今回は大差でリードしている展開。最小限のリスクで試合を終わらせたい状況だった。「アメリカの選手は練習からポンポンとスタンドに運びますし、パワーがありますから簡単には抑えられません。走者が出るとヒヤヒヤするし、どれだけ点差があっても、勝っているときは野手の登板はあまりよくないんじゃないでしょうか」。ファンを喜ばせる野手登板も、“KO”されて本職の投手が投げる展開になれば本末転倒とも言える。チーム事情とはいえ、頭を悩ませる問題である。
(尾辻剛 / Go Otsuji)