ド軍が陥る“悪循環”「勝てというのが酷」 6連敗、大谷低迷も…専門家指摘した勝負所

7月に入ってから軒並み打率2割前後の打線、好調マンシーも負傷離脱
大谷翔平投手らを擁するドジャースは9日(日本時間10日)までに今季最長の6連敗を喫し、2年連続ワールドチャンピオンを目指すチームの勢いに影が差している。現役時代に通算2038安打を放ち、MLBにも造詣が深い野球評論家・新井宏昌氏が現状を分析し、今後を展望する。
「投手は先発、リリーフともに低調。打線も大谷を含めてほぼ全員が調子を落としています。むしろ、これで勝てというのが酷な状態です」。新井氏は連敗の背景をこう評す。
確かに、7月に入ってからの打率は大谷が.188(32打数6安打)、ムーキー・ベッツ内野手が.219(32打数7安打)、4番を打つフレディ・フリーマン内野手が.200(35打数7安打)、メジャーデビュー2年目の若手成長株アンディ・パヘス内野手も.212(33打数7安打)と軒並み振るわない。今季打率.326でナ・リーグ首位打者争いをリードしているウィル・スミス捕手だけが、7月に限っても.421(19打数8安打)と気を吐いている状況だ。
「悪いことは重なるもので、調子を上げていたマックス・マンシー内野手が(今月2日=同3日のホワイトソックス戦で)走者と交錯し左膝を痛めて戦線を離脱してしまったのは痛恨です」と新井氏。34歳のベテランで三塁レギュラーのマンシーは、6月に月間打率.333、7本塁打、24打点、出塁率.459と猛打を振るい、チームを牽引する存在となった矢先に負傷。復帰まで約6週間が見込まれているという。
ナ・リーグ西地区2位のジャイアンツとは依然5ゲーム差
とはいえ、明るい材料もないわけではない。故障者が続出していた先発投手陣だが、タイラー・グラスノー投手が9日(同10日)のブルワーズ戦で73日ぶりの登板を果たし、5回2安打1失点(自責0)。移籍1年目でサイ・ヤング賞2回の実績を誇るブレイク・スネル投手の復帰も近づいている。6月16日(同17日)に投手復帰を果たした大谷翔平投手も徐々にイニング数と投球数を増やしており、5回100球以上に達する日もそう遠くないだろう。
「故障者続出で先発ローテが厳しい中で、エメ・シーハン投手のようにチャンスをつかんで台頭した若手もいます。そういう戦力を含め、勝負所の9月にどれだけ陣容を整えられるかがポイントになると思います」と新井氏は指摘する。昨年トミー・ジョン手術を受けた25歳のシーハンは、6月18日(同19日)のパドレス戦で620日ぶりの登板を先発で飾り、これまでに2試合で計9回2失点、防御率2.00と好投している。
6連敗を喫してもなお、ナ・リーグ西地区で2位のジャイアンツには5ゲーム差をつけている。優勝争いではまだまだ優位に立っており、確かに、9月までにいかにベストに近いメンバーをそろえるかの方が重要かもしれない。そこに佐々木朗希投手が加われるかどうか……。
11日(日本時間12日)からは当面のライバルであるジャイアンツを相手にオールスター前最後の3連戦に臨むドジャースだが、勝負所はまだまだ先と言えそうだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)