19歳が残す衝撃の「.571」 リーグ最速50敗も…“重圧なし”の若き4番が導く希望の光

ロッテ・寺地隆成【写真:小池義弘】
ロッテ・寺地隆成【写真:小池義弘】

ロッテ・寺地、4番で2試合連続2安打

■オリックス 8ー3 ロッテ(18日・ZOZOマリン)

 最下位にあえぐチームで19歳の奮闘は光明だ。ロッテの寺地隆成捕手が18日、ZOZOマリンスタジアムで行われたオリックス戦に「4番・捕手」で先発出場。4回に中前打を放つなど2安打をマークした。初めて4番に座った17日のソフトバンク戦(北九州)に続く2戦連続のマルチ安打。チームは延長戦の末に3-8で敗れたが、右投げ左打ちの若き正捕手が打撃で存在感を示した。

 左対左も関係ない。球界を代表する左腕の宮城大弥投手を攻略した。まずは1点を追う4回2死一塁。カウント1-1からのフォークを捉えた鋭い打球は、二塁手の左を抜けて中前に達した。チャンスを広げて高部瑛斗外野手の一時逆転となる2点適時打を演出。再び1点を追う6回1死一塁でも中前打を放ってチャンス拡大。安田尚憲内野手の同点打を呼び込み、この回限りで宮城をマウンドから引きずり降ろした。

 オリックスのエースである宮城は、試合前まで右打者への被打率が今季.230で左打者は.189。左打者は分が悪い状況だったが、寺地を含む左打者が攻略した。吉井理人監督も「データから見ると右打者の方が打てるけど、左打者がしっかり打って、いい攻撃をしてくれた」と称賛。2度チャンスメークした寺地については「4番という意識はなくて4番目。でも宮城攻略に関してはいいバッティングをしてくれた」と評価した。

 その寺地はチームの全3得点に絡む2試合連続のマルチ安打で、4番では2試合で7打数4安打の打率.571。打順に関して「特に意識してません。4番目に打っているかな? っていうぐらいの感じ」と指揮官同様のコメントを発し、重圧になっている様子は見せない。「自分の役割を果たすだけです。今までも自分のスイングをしっかりやろうとやってきたので、特に気負うことなく打てていると思います」と頼もしい限りである。

迫る規定打席…初出場の球宴にも意気込み

 明徳義塾高から2023年ドラフト5位指名を受けて入団。1年目の昨季は2軍で104試合に出場してイースタン・リーグ2位の打率.290といきなり片鱗を示した。「結構(打順は)上位を打たせてもらいました。それで慣れた部分があると思います」と現在の飛躍につなげている。10月には1軍初昇格してプロ初打席で二塁打。シーズン最終戦ではスタメンマスクも経験した。

 2年目の今季は開幕1軍。シーズン当初は出番が少なかったものの、徐々に出場機会を得ると6月には2番に定着するなどアピールを続けてきた。ここまで67試合に出場して打率.275、5本塁打、21打点。規定打席到達も目前に迫ってきている。昨年の球宴第2戦でMVPを獲得した佐藤都志也捕手の不振をカバーして正捕手に君臨。監督推薦で球宴初出場も決め「いろんな素晴らしい選手がいるので、しっかり見て、聞いて充実した2日間にしたい」と意気込む。

 チームは引き分けを挟んで3連敗。球団関係者は「やることなすことうまくいかない。こんなことってある?」と嘆く。17日のソフトバンク戦は2-2の6回表に4点を勝ち越しながら、その攻撃中に雨が強まりコールドゲームに。勝ち越しの4点は幻となり、ドローに終わるなど負の連鎖が続いている。今季最多の借金19でパ・リーグ最速50敗となったが、このままでは終われない。若い力を逆襲へのカンフル剤としたいところだ。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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