オリ助っ人が狙うNPB史上初の快挙 消えた強みの裏で…見出した“新境地”

ペルドモが狙う「2球団での最優秀中継ぎ投手賞」
オリックスのルイス・ペルドモ投手は、18日時点でリーグトップの23ホールドポイントを記録。ペルドモはロッテ時代の2023年に最優秀中継ぎ投手賞に輝いており、2球団にまたがってのタイトル獲得に期待がかかる。
最優秀中継ぎ投手賞を異なる球団で受賞した投手はこれまで1人も存在せず、ペルドモが今季、同タイトルを獲得すれば史上初の快挙となる。ここでは、指標に見るペルドモの特徴と強みに加え、2005年以降にパ・リーグで最優秀中継ぎ投手賞を複数回受賞した投手たちの顔ぶれを紹介する(以下の成績は全て16日の試合終了時点もの)。
ペルドモがNPBで残してきた年度別の指標によると、通算の奪三振率は6.15とリリーフとしては控えめな数字になっており、打たせて取る投球スタイルが持ち味だ。また、ロッテ時代の2023年は奪三振率7.28を記録したが、オリックスに移籍した2024年は6.11、2025年は4.25と奪三振率が低下している。
一方で、通算の与四球率は1.99と優秀な水準にある。2023年の与四球率は2.66だったが、2024年には0.96と1イニング平均の与四球が1個以下まで減少。2025年も1.82と優れた数字を記録しており、オリックス移籍後に制球力が改善されている。
奪三振を与四球で割って算出する、投手の能力や制球力を示す指標である「K/BB」も通算で3.08と一定以上の水準にあり、2024年には6.33という抜群の数字を記録。ただ、2025年は奪三振率の低下に伴い、K/BBも2.33と前年に比べて低下している。
■現代野球にマッチした右腕の投球スタイル
今季は奪三振率やK/BBが低下する一方で、1イニングで許した走者の平均数を示す「WHIP」は1.04と優秀な数字を残している。最多ホールドを受賞した2023年の1.26より優れた数値となっている点は、興味深い要素と言える。
そこで、本塁打を除くインプレーとなった打球が安打になった割合を示す「被BABIP」を見ていこう。被BABIPは一般的に投手自身がコントロールできる要素が少なく、運に左右されやすい指標であると考えられており、一般的な基準値は.300とされている。
2023年の被BABIPは.316と基準値を上回っているが、2024年は.232、2025年は.253と、オリックスへの移籍後は大きく数字が改善されており、通算の被BABIPも.277まで低下している。
現在のパ・リーグでは、オリックスを除く5球団の被BABIPが基準値の.300を下回るなど、安打になる打球自体がリーグ全体を通して減少傾向にある。奪三振を狙うのではなく、持ち味の制球力を活かした打たせて取る投球スタイルが、好成績をもたらしている可能性はありそうだ。
現代野球にマッチした右腕の投球スタイル
今季は奪三振率やK/BBが低下する一方で、1イニングで許した走者の平均数を示す「WHIP」は1.04と優秀な数字を残している。最多ホールドを受賞した2023年の1.26より優れた数値となっている点は、興味深い要素と言える。
そこで、本塁打を除くインプレーとなった打球が安打になった割合を示す「被BABIP」を見ていこう。被BABIPは一般的に投手自身がコントロールできる要素が少なく、運に左右されやすい指標であると考えられており、一般的な基準値は.300とされている。
2023年の被BABIPは.316と基準値を上回っているが、2024年は.232、2025年は.253と、オリックスへの移籍後は大きく数字が改善されており、通算の被BABIPも.277まで低下している。
2005年以降、最優秀中継ぎ投手賞を複数回受賞した3投手
ここからは、2005年にタイトルの評価基準がホールドポイントに変更されて以降、パ・リーグで最優秀中継ぎ投手賞を複数回受賞した投手の顔ぶれを見ていく。
元ソフトバンクの攝津正氏はプロ1年目の2009年に70試合に登板し、防御率1.47、奪三振率11.52と素晴らしい投球を展開。セットアッパーとしてフル回転の活躍を見せて39ホールドポイントを挙げ、新人王と最優秀中継ぎ投手賞のタイトルを獲得する圧巻のルーキーイヤーを送った。
続く2010年も勝ちパターンの一角を務め、キャリアハイとなる71試合に登板。防御率2.30、奪三振率9.73と優れた投球内容で、前年を上回る42ホールドポイントを記録して2年連続となる最優秀中継ぎ投手賞の座に輝いた。
元オリックスの佐藤達也氏はプロ2年目の2013年に67試合に登板し、防御率1.73、奪三振率10.15と打者を圧倒。同年は42ホールドポイントを記録して最優秀中継ぎ投手賞を受賞し、当時のパ・リーグを代表するリリーバーの1人へと飛躍を果たした。
2014年も前年と同じ67試合に登板し、防御率1.09、奪三振率10.29と前年以上の成績を残し、僅差の試合で幾度となく相手打線を封じ込めた。48ホールドポイントをあげ2年連続の最優秀中継ぎ投手賞を獲得し、剛球右腕として一時代を築いた。
日本ハムの宮西尚生投手は、プロ1年目から14年連続で50試合以上に登板した実績を持つが、初めて最優秀中継ぎ投手賞に輝いたのは9年目の2016年。同年は58試合で防御率1.52、42ホールドポイントとセットアッパーとして活躍し、日本一の大きな原動力となった。
2年後の2018年にも55試合で防御率1.80と安定した投球を見せ、41ホールドポイントをあげて自身2度目の最優秀中継ぎ投手賞を獲得。2019年も55試合に登板し、防御率1.71、奪三振率9.70を残し2年連続3度目となるタイトルを獲得した。
紹介した3投手は、いずれも1つの球団でキャリアを過ごしてきた。ペルドモがNPB史上初となる「2球団での最優秀中継ぎ投手賞」を達成することができるか。助っ人右腕の今後の登板に注目が集まる。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)