全国V2、青森山田シニアの“入念”体調管理 遠征もこだわり…心技体で差がつく「細心ルール」

青森山田シニアが実践…「差をつける」コンディション調整
「心技体」を整えることが結果につながる。2021、2022年に日本選手権を連覇した中学硬式野球の強豪「青森山田リトルシニア」の中條純監督は、野球の技術向上はもちろん、選手の「心」と「体」のケアに注力する。「それなりの結果を出せる練習は日々している。負ける時は力を出し切れなかった時。力を出し切れない状況を作らないためにコンディションを整える」。その考えのもと、特に遠征時はさまざまな工夫を凝らす。
遠征時の体調管理の一例が「交代浴」。宿泊先のホテルで、浴槽に湯を張る部屋と水を張る部屋をそれぞれ複数用意し、2人1組で温浴と冷浴を交互に繰り返す。最初と最後が温浴になるように段取りを組み、それを3、4セット行う。体をクールダウンさせるほか、血液の循環が良くなり、老廃物が流れることによる疲労回復の効果があるという。
睡眠にも細心の注意を払っており、「最低でも8時間は寝る」「起床の2時間前にエアコンが停止するよう設定する」などのルールを徹底している。遠征中に食事量を減らさず、サプリメントやプロテインで栄養素を補うのも体調管理の一貫だ。
体が整えば、必然的に心も整う。中條監督は「大好きな野球を頑張るのは誰もができる。差をつけるためには野球のために必要なことを頑張らなければならない。どれほど意味があるかは分からない中でもこだわって、とことん調整した事実が、メンタル面で優位に立って自信を持てる材料になると思います」と力説する。そうして「心技体」は磨かれていく。

情報化社会だからこそ醸成したい選手の「興味を持つ」姿勢
中條監督は2015年の監督就任当初から、これらの調整方法を採り入れていたわけではない。トレーナーや理学療法士、時には寝具メーカーや日用品メーカーなど、スポーツ界とは異なる業種の関係者からも知識を得て、自ら試して効果があると感じたものは積極的に採用してきた。
「情報化社会の今はYouTubeなどを通じていろいろな情報が耳に入る。その中で正しい情報を見極める力をつけるには、選手自身が興味を持って学ぼうとしなければならない。興味を持たせる作業が自分たちの仕事だと思っています」
中條監督自身、今でこそ「固定観念にとらわれず、良い意味で自分を貫かないで良いと思ったことをどんどん採り入れる」タイプだが、現役時代はコンディション調整に考えを巡らせる機会がなかったという。心残りがあるからこそ、教え子たちには中学生のうちに野球の技術以外の情報や知識に興味を持つ姿勢を身につけ、次のステージに進んでほしいと願っている。
(川浪康太郎 / Kotaro Kawanami)
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