イチロー氏が日本球界へ提言「真似する必要はない」 MLBの“変化”も…殿堂式典で前日対応

殿堂入り式典の前日会見に臨んだイチロー氏【写真:木崎英夫】
殿堂入り式典の前日会見に臨んだイチロー氏【写真:木崎英夫】

殿堂入り式典で前日対応「今のMLBの野球は戻りつつあると思うんですよね」

 アジア人初の米野球殿堂入りを果たしたイチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)は26日(日本時間27日)、ニューヨーク州クーパーズタウン内で記者会見を行った。表彰式典が27日(同27日)に行われる。「とにかく、もうスピーチのプレッシャーで押しつぶされそうで。えらいことになってます」と心境を語った。

 記者会見では日本野球とメジャーリーグの距離感についてを問われた。「MLBの影響は日本では、何年か後にその流れがやってくる。それがずっと続いている状態だと思います」と語ったが、「野球自体は全くその、真似をする必要は僕はないと思っていて。日本は日本の野球、アメリカはアメリカの野球があって、いいと思っています」と提言をした。今のメジャーリーグについても熱く語った。

「今のMLBの野球は戻りつつあると思うんですよね。頭を使わないとできない。考えないとできない。例えば直近で見た相手ではブルワーズはそんな野球をしてました。今一番強いチームです。それはすごくいいことだと思いますね。やっぱり野球というのは、考えて、自分の能力を高めていく競技だと思う」

「ただ走るのが速い。肩が強い。打球速度、投げる球が速い。それだけでは測れないものだと思うので。今回、僕はここに、クーパーズタウンにいることが、こんな感じの選手だった人が。それは何かのメッセージになるんじゃないかと思います」

 6月に亡くなった長嶋茂雄さんや、オリックス時代の恩師、仰木彬さんについても言及する場面があった。長嶋さんについては「必ず他人が長嶋さんをどう見ているかをすごく認識されていて、理解されていて。どう自分が振る舞うことが正しいのか、美しいのか。それを追い求めた方だと思っていました」とコメント。

 仰木さんは「イチロー」として1軍に抜擢してくれた人物だ。「最も影響をいただいた方ですね。野球関係者の中では僕の中では最も面白い方で、最も粋な方でした。プライベートも見させてもらって、力の抜けた感じは本当に勉強になりました。人生というのは人との出会いで決まっていく」と語った。

 現役時代に何度も訪れていたクーパーズタウン。だが、昔の選手の道具を見せてもらっていたというが、殿堂入りは「ゴール(目標)になったことは一度もないです」という。

「やっぱりシーズン中戦っているといろんな感情が生まれて、それは、いい感情もありますが、自分の心がなんか濁っていくというか、そういうこともたくさんありました。それでクーパーズタウンを訪れると、それをすごく綺麗に拭ってくれて、もう一度リセットして次のシーズンに向かえる。そんな気分でしたね」

 言葉の一つ一つを噛み締めるように語っていた。

(Full-Count編集部)

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