大谷同僚が感銘を受けたイチロー氏の姿勢 「背中を押された」次の世代へ受け継ぐ思考

マーリンズで“伝説”と3年をともにした守備の名手ロハス
マリナーズ、ヤンキース、マーリンズでメジャー通算19シーズンの現役生活を送ったイチロー氏が27日(日本時間28日)、米野球殿堂表彰式典に臨む。アジア人初の米野球殿堂入りという偉業を我がことのように喜ぶ1人が、ドジャース野手最年長のミゲル・ロハス内野手だ。現在は大谷翔平選手らの同僚としていぶし銀の活躍をする36歳。大谷のグラブを借りて今季すでに4登板を果たすなど、チームファーストを貫くベテランが手本とするのが、マーリンズ時代の同僚でもあるイチロー氏だ。
イチロー氏がマーリンズに所属したのは2015年から3シーズン。当時20代半ばの若手だったロハスは、毎日黙々と試合に向けてのルーティンワークに取り組むイチロー氏の姿に大きな感銘を受けたという。
「毎日毎日、野球と向き合う姿勢を見ているだけで、授業を受けているようなもの。試合がある日でもない日でも、オフの時でも、彼は常に自分のベストで試合に臨めるように能力を鈍らせないよう準備を重ねていた。まだ駆け出しだった自分にとって、チームでの役割にかかわらず、来る日も来る日も変わらぬ準備をする姿を見るのが楽しみで仕方なかった。当時のイチはレギュラーではなかったけれど、毎日先発するのと同じ練習と準備を重ねていたのを見て、自分も同じことをやろうと背中を押された」
イチロー氏の姿に学び、ただ球場に来て試合をするのではなく「毎日目的を持って球場に来ることにした」というロハス。内野は全ポジションを守れる守備の名手として存在感を示し、2023年にドジャース移籍後もチームの勝利のために尽くす。そこにはイチローら先人から受け継いだ思いを、後輩に伝えていきたいと願う心が込められている。
「自分は手本になるタイプではないけれど、先輩たちから学んだレガシーや教えを次世代に伝えることで、若手たちが何か気づきを得られればいいと思う。同時に、僕の野球に対する姿勢やよりよい選手になろうと努力する姿を見て、新しい世代の選手たちが何かを学んでくれるとうれしい。願わくば、イチが色々な選手の人生に与えたようなインパクトを繋いでいけるといいのだけど」
故郷のベネズエラでも、イチロー氏はスーパースターだ。「イチは野球というスポーツにとって親善大使のような人。所属チームだけではなく、長年野球そのものの顔とも言える存在だ。マイアミで3シーズンほど一緒にプレーできたことをうれしく思うし、イチローとご家族のことを思うと殿堂入りするがとてもうれしい」とロハス。「どこにいてもワークアウトや遠投をしながら試合の準備をしているんじゃないかな」といたずらな笑みを浮かべながら、敬愛するイチロー氏を称えた。
(佐藤直子 / Naoko Sato)