トラウトが忘れぬイチローの衝撃「誰が想像できる?」 試合と“別の姿”「ビックリした」

同地区ライバルとして刺激受けあう「対戦するのが楽しかった」
メジャー通算3089安打を放ち、日本人初の米野球殿堂入りを果たしたイチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が27日(日本時間28日)、ニューヨーク州クーパーズタウンで表彰式典に参加した。マリナーズと同じア・リーグ西地区で長年しのぎを削ってきたエンゼルスのマイク・トラウト外野手は「全てをリスペクトしている」と、その輝かしい功績を称えた。
イチロー氏がメジャーデビューを飾った2001年。10歳になったばかりのトラウト少年は、新人王とMVPを同時受賞し、米球界に一大センセーションを巻き起こしたイチロー氏を見て「なんだかすごい選手が日本からやってきた」と感じていたという。
トラウトが初めて“生”イチローがプレーする姿を見たのは、それから10年後。2009年ドラフトで高校生ながら全体1巡目指名されたトラウトが、待望のデビューを飾った2011年のことだった。「遠征で初めてセーフコフィールド(現T-モバイルパーク)に行った時、打撃練習をするイチローがいたんだ。試合中に見るバッティングとは違い、パワフルな打球を次々とスタンドに叩き込んでいて、ビックリしたのを覚えているよ」と笑う。
同地区ライバルとして、何度も対戦を繰り返してきた。打者としてタイプは違うが、「打席に立てばほぼ毎回ヒットが保証される。スピード、パワーがあって、肩の強さも素晴らしい。対戦するのが楽しかったし、プレーする姿を見るのも楽しかった」と刺激を受ける存在だった。同じ外野手として称えるのが、レーザービームの異名を執る正確無比な「強肩」ぶりだ。「あの細身の体から、あんな力強い送球が繰り出されるなんて、一体誰が想像できる? すごいの一言だよ」と絶賛した。
腰を据えて言葉を交わしたことはないが、会うたびに挨拶を交わすだけで互いに抱くリスペクトの心は通じ合っている。チームの顔、MLBの顔として、常に大きな注目を集める存在であり続けた“仲間”。「僕らは同じ思いを共有していると思う。野球というスポーツのために、何かいいことをしていきたい。その思いを大切にしている。イチローのおかげで野球ファンが増えたし、野球の世界観も広がった。MLBだけではなく、スポーツ界全体、そして日本にも大きな影響を与えてきたことは本当に素晴らしい」と言葉を紡いだ。
「彼の野球に対する真摯な姿、そして全てをリスペクトしている。今日は本当にワンダフルな日だね!」
トラウトはこの日、5回に今季19号2ランを右中間スタンドに叩き込み、通算397号本塁打&1001打点を記録。自身も着実にクーパーズタウンへの歩みを進めている。
(佐藤直子 / Naoko Sato)