竜の忍者の恐るべし“嗅覚” 安打を強奪しまくり…味方も唖然「ヒットと思っていました」

中日・田中幹也【写真:矢口亨】
中日・田中幹也【写真:矢口亨】

中日・田中が巨人戦で超美技を連発した

■中日 8ー5 巨人(29日・バンテリンドーム)

 守備職人がチームを支えている。中日の田中幹也内野手は29日、バンテリンドームで行われた巨人戦で「2番・二塁」で先発出場。4打数2安打の活躍に加え、守備でも存在感を発揮した。両チーム合わせて4本塁打と、一発が出にくい本拠地で起きた異例の空中戦。派手な“乱打戦”の裏で、中日の名手がひと際輝きを放ち、勝利に貢献した。

 3点リードの6回1死一塁、先発の大野雄大投手がキャベッジに、この日2本目となる10号2ランを許した。1点差となる一発に、球場は巨人ファンの大歓声と、中日ファンのため息が交錯した。中日にとっては“不穏なムード”が漂いだしたが、田中が雰囲気を一瞬で変えた。

 5番・岸田行倫捕手の中前に抜けようかという打球に対し、体を目一杯に伸ばし逆シングルで掴み捕ると、そのまま振り向きざまにジャンピングスロー。ストライク送球で間一髪アウトをもぎ取った。166センチの田中がみせたビックプレーに大歓声が上がった。

「来そうだなと思ったので、少し準備していたのが良かったかなと思います。全然アウトになると思わなかったですし、セーフだと思って投げました。正直、投げるかどうか迷ったくらいで。チャレンジして良かったなと思いました」

 さらに7回には2死一、三塁のピンチでボテボテの打球を全力疾走で前進しながらランニングスローで処理してピンチを切り抜けた。涼しい顔で難なくさばく守備職人に竜党から大きな拍手が起きた。

 まだ終わらない。8回にも6回と全く同じような二遊間への打球が飛んだが、あっという間に追いつき、振り向きざまのジャンピングスローでアウト。またもや安打を“強奪”した。この回からマウンドに立った橋本侑樹投手も思わず拍手。「正直、ヒットだと思っていました。捕った瞬間も内野安打かなと……。あのプレーはデカかったですね。(安打だったら)その後が全然気持ち的に違う。あのプレーがあったからしっかり抑えられました」と、最大級の感謝を述べた。

「今まで投手陣におんぶに抱っこということも多かった。一球で流れが変わるのが野球ですし、何とかしたいと思っています」。小さな体でどんな打球でも追いつき、アウトにする姿はまさに“忍者”。敵も味方も驚愕させる美技でチームを救い続ける。

(木村竜也 / Tatsuya Kimura)

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