酷暑の甲子園では「メリットの方が大きい」 DH制導入…女子全国V監督が語る影響

福知山成美・長野恵利子監督【写真:喜岡桜】
福知山成美・長野恵利子監督【写真:喜岡桜】

女子の甲子園…福知山成美が11年ぶりV

 男子高校野球の開幕を控える甲子園で2日、「第29回全国高等学校女子硬式野球選手権大会」の決勝が行われ、福知山成美(京都)が10-1で岐阜第一に勝利し、2014年夏以来11年ぶり2度目の夏女王に輝いた。2009年の創部から指揮を執り、元日本代表主将でもある長野恵利子監督は「男子と同じ聖地に立てて感無量です」と落ち着いた様子で話した。

 前日の1日に日本高野連が2026年春の公式戦から、投手の代わりに守備につかない他の選手が打席に立つ指名打者(DH)制を採用することを発表したが、すでに女子野球では同制度が採用されている。この日行われた決勝は両校とも指名打者を主軸に置き、同制度を解除しないままフルイニング(7イニング)を戦った。

 同制度について長野監督は「メリットの方が大きいですよね」と柔らかな表情で語る。「ピッチャーの子でも、打てる子は多い」と語り、必ずしも技術力だけが指名打者を置く基準でないこと明かし、それよりも体力的な負荷が大きいピッチャーの「エネルギーの回復」を重視していると説明した。

「温暖化でこれだけ夏が暑くなっているので、ピッチャーには(次のイニングまで)休む時間が必要だと思います」と語り、今夏は1回戦から決勝までの6試合で同制度を使用。それでも「体力が消耗してしまう」と2回戦をのぞいた全ての試合で、故障した元エース・城山絢耶投手(3年)に代わる2年生2人を中心とした継投策を用いた。

DH制で投手の体力回復、指揮官の配慮にも変化

 近年、暑さによる体力消耗は著しい。「練習試合でも7回を投げさせるということが初めて無かったんです。男の子の体力は分かりませんが、やはりDHをすることで打席に立たないで休めるということは大事だと思います」と念を押す。

 加えて、指揮官のベンチワークに変化があるとも話し、「今までと気の使い方が変わると思いますね。これまではピッチャーが(打者として)走ったあとに四死球を出すケースが多かったので、こちらもピッチャーには慎重に声をかけていました。DHでそれが無くなって、次の回のためにしっかり休ませることができます」とメリットを強調した。

 敗れた岐阜第一を昨年から指揮する鹿川大翔監督は、女子野球に携わるまで高校野球における同制度とは無縁だった。「もう決まっていること。勝つためには、決まったことをポジティブに捉えないといけないですね」と頷いた。

 甲子園で行われる男子の高校球児の試合では、来年春の選抜から同制度が導入される。

(喜岡桜 / Sakura Kioka)

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