酷暑の甲子園…NPBスカウトの判断材料は? アピール困難な環境も「評価は変わらない」

朝夕2部制実施も…足攣る選手が続出
第107回全国高校野球選手権は8日に第4日目を終えた。今大会を通じて話題となっているのが「酷暑」だ。試合中に体調不良を訴える選手も続出し、ベストなパフォーマンスを発揮するには厳しい環境のなか、NPBのスカウトは選手をどう評価しているのか――。
酷暑の影響を加味し、開会式は午後4時から実施。第6日目までは気温が上がる日中での試合を避け、朝夕の2部制も導入されている。対策を練りながらの開催となっているが、午前中に行われた試合で選手が立て続けに足を攣って途中交代するなど、やはり選手への負担は大きいと言わざるをえない。
プロ注目の選手とすれば、スカウトが集結する甲子園での活躍が夢への“近道”となりうるが、ベストパフォーマンスを出すには厳しい環境でもある。選手の評価、判断はどうなるのか、あるNPB球団のスカウトに話を聞いた。
「甲子園に出ている子たちが持っている能力はすでに把握しています。地方大会、もっといえばそれ以前からしっかり見ているので、把握していない子はいないんです。例えばここで足が攣っても、5回や6回でバテてしまっても評価は変わりません。プロだって、この環境はきついですよ」
さらに“プレー以前”で評価している面も大きいという。「あの子キャッチボールがいいね、立ち姿がいいね、アップから違うね、と“何か”を持っている子はその時点で雰囲気は違います。実際に試合で気になる部分があっても、この先で大丈夫になるだろう、ということです」。技術面はプロ入り後に向上させることができる。潜在能力を感じることができれば「抑えたとか、打たれたとかは気にしません」と語った。
甲子園という大舞台で実力を発揮できる、できないがプロ向きかどうかの“指標”にもなる。これには「そこは名門校にいる子は強いですね、やっぱり。見られることに慣れています」とうなずいた。プロの“スカウト眼”にかかれば、酷暑が評価に与える影響は極めて少ない、ということか。“熱い”夏はまだまだ続く。
(湯浅大 / Dai Yuasa)