甲子園で話題…復活した伝説の名門ユニ “そっくり”にOBたちの本音「血が流れている」

初戦敗退となった高知中央ナイン【写真:加治屋友輝】
初戦敗退となった高知中央ナイン【写真:加治屋友輝】

高知中央・山野司監督はPL学園出身

 あの名門校OBたちの声色はそろって明るかった。前日の雨天順延により第4試合へ変更となった高知中央(高知)のユニホームが、全国制覇7度を誇り、2017年3月に高野連を脱退した昭和の名門・PL学園に似ていると話題だ。今年度から指揮を執る山野司監督はPL学園出身。1学年下で、同部屋だった深瀬猛氏は「せっかくユニホームを刷新するならと高知中央の人たちが提案してくれたそう。応援したいですね」と声を弾ませた。

 今年4月に新たな指揮官を迎え、ユニホームを赤い縦縞から一新。山野監督の母校に似せたクリーム色のユニホーム、紺色のアンダーシャツやソックス、同じ字体を採用した。そのデザインに懐かしさを感じる高校野球ファンは多く、地方大会期間中からじわじわと話題になっていた。

 1987年に春夏連覇を成し遂げている深瀬氏は「山野さんと雨天練習場で、高校3年生だった清原和博さんの打撃練習を手伝ったりしましたね」と懐かしむ。見慣れた字体で「KOCHI」「CHUO」と上下段に分けて刻まれているユニホームについて、深瀬氏は「(感慨深さは?)全くないね。ははははは」とあっさりと答えた。

「あれが例えば、頭文字を取るなどして胸4文字程度だったら『うちを真似してるやん。寄せにきてるな』って思うかな。だけどこれは高知中央やなという感じ。後ろから見れば……うーん。色合いは似てるかなってくらいやね」と笑い飛ばした。

PL戦士のユニホームは「神聖」

 2006年春に聖地に立っている冨田康祐氏(元DeNAなど)も「見ましたよ。似てなかったですね」と続いた。思い入れがあるからこそ違うものに感じるようだ。同校は1956年の創部から休部までデザインは全て“刺繍”。そのため「昇華プリントでは、ああいう雰囲気は出せないからじゃないでしょうか」と分析した。

さらに、同校には道具を大切にする教えがあり、とくにユニホームは「神聖なものとして扱っていましたから」と振り返る。「昔はユニホームの生地が厚かったんです。さすがに僕たちの頃はメッシュ素材でしたが、それも今とは少し違いますよね」と冷静に話した。

 対して、小林亮寛氏(元ロッテなど)は「親近感が湧きますよね」と嬉しそうに即答。「僕たちは応援する後輩がいないので、(高知中央は)ユニホームが似ていること、監督がPL出身の山野さんということで、PLの血が流れているのかなと思ってしまって、自然と応援したくなりますよね」と目じりを下げた。

「OBとしては毎年寂しいんですよね」とも明かした小林氏だったが、大阪府富田林市の学び舎で過ごした苦楽の3年間は、他に代えられない青春だ。似たユニホームのチームが現れても、母校愛が「揺らぐという程ではないですよ」と言葉に力を込めた。

(喜岡桜 / Sakura Kioka)

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