「昨年は素人」激変したロッテ19歳を首脳陣絶賛 ブレークした打撃「教えることない」

ロッテ・寺地隆成【写真:小林靖】
ロッテ・寺地隆成【写真:小林靖】

サブローヘッドコーチ、寺地の成長を称賛

 高卒2年目で、もう教えることがない――。現役時代に“つなぎの4番”として活躍したロッテのサブローヘッドコーチが9日、今季ブレーク中の寺地隆成捕手と山本大斗外野手に言及した。昨年まで1軍でほとんど実績がなかった2人だが、今季はともに球宴初出場を果たすなど成長著しい。今年6月に2軍監督から配置転換されたサブローコーチは、指導を続けてきた“愛弟子”の活躍に目を細める。

 明徳義塾高から2023年ドラフト5位で入団した寺地は、1年目の昨年は2軍でイースタン・リーグ2位の打率.290をマーク。シーズン終盤に1軍昇格すると、プロ初打席で二塁打を放つなど非凡さを示した。開幕1軍入りした今季は正捕手に定着。球宴でも安打を放つなど、8日の時点でリーグ7位の打率.270をマークし、打てる捕手として2番を含めた上位打線に定着している。

 同ヘッドは「守備であれだけ走られて、点を取られても、バッティングになったらコロッと変わる。切り替えができている。そこは大したもんやなと思う」と打撃面を高く評価。「バッティングは教えることはないです。(2軍監督だった)昨年も、あんまり教えてないもん。悪いところはあるけど、あんまり指摘したくない。いつもと違うところがあったら、たまに言うぐらいです」と高卒2年目の19歳に大きな信頼を寄せている。

 課題の守備については「昨年は素人みたいなもんやったからね。高校時代もそんなに捕手をやってないし。江村(バッテリーコーチ)に『素人を一から鍛えるつもりでやれ』って言いましたから」と振り返る。今季は「昨年に比べたらめちゃくちゃレベルアップしてる。スローイングにしても、まだまだ失敗は多いけど全然いい。1年でここまで来て、やっぱり経験って大事なんやなって思う。成長はかなりしてます」と絶賛した。

「2番を重要視」「4番はむしろ降格」

 開星高から2020年の育成ドラフト3位で入団した山本は、2年目の2022年7月に支配下選手契約を勝ち取り、1軍出場も経験。2024年はイースタン・リーグで19本塁打、66打点をマークして2冠を獲得と着実にステップアップしてきた。昨年まで1軍では0本塁打だったが、今季は一時期4番を担うなど、8日時点で11本塁打。球宴でも第2戦でパ・リーグの4番を任され、二塁打を放つなどパワフルな打撃は魅力十分だ。

 現在は相手にも研究され、本塁打のペースは落ちて打率も2割台前半と低迷。同ヘッドは「まあ、こんなもんでしょう」と説明する。「同じ攻め方をされてるけど、1個崩れたらね……。苦しむだけ苦しんだらええと思う。これを来年以降、どう実らせていくか。元々、スランプが長いタイプなので『いかにスランプを短くするかを考えなあかんな』と言ってます。調子悪い中、どうやったらヒットが出たとかホームラン出たとか、分かってきたら少しずつスランプが短くなっていくんかなと思いますね」と不振を糧にさらなる成長を求める。

 現役時代に通算1363安打を放った同ヘッドは、2005年と2010年に4番打者として日本一に貢献。今季は寺地と山本も担った4番の話題には「僕の中で4番ってそんなに評価は高くないんですよ」と言い切る。時代が変わり「2番の方を重要視しているんです。2番→1番→4番の順。メジャーリーグもそうなっているけど、2番に一番いい打者を置きたい」と強調。理想はドラフト1位ルーキーの西川史礁外野手と山本の1、2番だと言い「2人で1点を取れるような打線が作れたらなと思ってますけど、なかなか難しい」と思考を巡らせていることを明かした。

 2軍監督と立場が変わっても熱い指導法は「変わらないです」と同ヘッド。「4番に置いたからって別に、出世でもなんでもない。むしろ降格だと、みんなに言ってる。『2番を打ったら出世したと思っていい』って言ってます」。最近、その2番を打つのは寺地、山本、西川。リーグ最下位と苦しい戦いが続く中、若い選手を鍛えて、チーム力の底上げを図っていく。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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