男だらけの応援団で初の女性部員「くじけそうに」 甲子園で奮闘する“白学ラン”

尽誠学園の応援部で奮闘する1人の女子部員
第107回全国高校野球選手権は12日に2回戦(初戦)が行われ、9年ぶり12回目の出場となった尽誠学園(香川)が東大阪大柏原(大阪)を3-0で下し、3回戦進出を決めた。アルプススタンドは香川県から押し寄せた応援団で超満員、大盛り上がりだった。その中で、珍しい“白の学ラン”を着た1人の女子部員が奮闘を続けていた。
名前は藤井優菜さん(2年)。応援団に入ったきっかけは「全校応援指導」という学校行事で当時の3年生から指導を受けたからだという。「あ、かっこいいなと思って憧れてしまいました」と、昨年11月に応援部に入部した。
尽誠学園の応援部には「チア」と「リーダー」という2つのセクションがあり、チアはチアリーディングの大会に出たり、振付で応援をするチーム。リーダーは学ランをきて、応援を統括するチームだ。その当時、リーダーに女子部員はいなく、藤本さんが初の女子部員となった。
入部当初はとても苦労したという。「男子と女子では体力が全然違うので、くじけそうになりました」。応援の振付を30分間やり続ける練習や筋トレなど、これまでしたことがないハードな練習だった。それでも、「先輩や同期に支えられて、ここまでやってきました」と応援団の活動を続けてきた。

4月に女子部員が2人入部「かっこいい彼女を慕って入ってくれた」
新年度となった今年の4月。部員は2、3年生を合わせて3人だけで、「これは1年生を入れないとヤバい」と勧誘に奮闘。女子部員は2人が入部、男子もあわせて10人になった。
応援部の顧問・井川総(さとし)先生は「ウチの応援部は男ばっかりだったんですけど、彼女が部を変えてくれましたね。勉強も部活も熱心で、学校の応援をよく引っ張ってくれてますし、格好いい彼女を慕って2人も女子部員が入ってきてくれたと思いますよ」と称える。
そして目を引くのが白の学ランだ。全国で白の学ランで応援をするのは尽誠学園ぐらいと話す藤本さん。「この白の学ランに本当に憧れました。(炎天下で着用しても)応援中は全然暑く感じないです。この学ランを着たら緊張もなくなりますし、思い切り応援することができます」と力を込める。
高校球児の夢の舞台である甲子園で応援する機会を得た今夏。「県大会の時とは違う景色で、本当に感動しました。甲子園に連れてきてもらって本当にありがとうと伝えたいです」と、ナインに感謝を忘れなかった。
(神吉孝昌 / Takamasa Kanki)