甲子園で流れた新たな“魔曲” 教員が作曲→ベンチ外3年生が作詞、託した仲間への思い

仙台育英戦を戦った開星ナイン【写真:加治屋友輝】
仙台育英戦を戦った開星ナイン【写真:加治屋友輝】

教員と部員が作ったオリジナル曲「開星GONG」

 第107回全国高校野球選手権は14日、大会第9日目が行われ、第1試合で開星(島根)が仙台育英(宮城)と対戦し2-6で敗れた。2回戦敗退となったものの、アルプススタンドからはオリジナルソング「開星GONG」が選手の背中を押した。

 初回、四球と安打で1死一、三塁の好機を作るとすかさず「開星GONG」が響き渡った。オリジナルソングを背に4番の松崎琉惺選手(3年)が打席に入ると、2球目を捉え中堅深くへの犠飛となり先制に成功。新チャンステーマとともにアルプススタンドは狂喜乱舞した。

“魔曲”の始まりは今年5月上旬。野球部員から「今年は絶対に甲子園行くので曲を作ってくれませんか?」と、吹奏楽部顧問の長島篤哉先生に突然提案があった。部員側も「作ってくれたらラッキーくらいに思っていた」と期待半分だったが、長島先生の回答はイエス。長島先生自身、作曲の経験はなかったが「作りたいと思っていたので、後押ししてもらったくらいです」と即承諾した。

 曲が完成したのは7月、夏の大会が始まる2週間前。3年生全員が集まって鑑賞会を開いた。吹奏楽部が奏でる前の“機械音”だったが、野球部員からは大絶賛の拍手。「『マジかっこいいっす!』と言ってもらえて嬉しかったですね」と長島先生は安堵の表情を見せた。

 さらに、ベンチ入りメンバーから外れた3年生部員7人が歌詞を付けた。最初は“ベンチ外”に悔しい気持ちもあったが、最大限の貢献を考えた時に行動は決まっていた。「おまえの気迫をここでみせろ」。サビで叫ぶこの一言に仲間への思いを託した。

 初演奏はブラスバンド応援が解禁された準々決勝。「開星GONG」が流れた試合は100%得点が入っている。甲子園でも初戦に続き、この日も初回に披露されると得点が生まれた。聖地に響き渡った新たな“魔曲”。試合には敗れたが、最後の瞬間まで全力で鐘を鳴らし続けた。

【実際の様子】チャンスで響き渡った“魔曲” 「開星GONG」で応援する吹奏楽部と開星ナイン

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