横浜2年生右腕は「バケモノ」 対戦相手も“恐怖”…打席で見た凄み「全然手が出ない」

綾羽戦に登板した横浜・織田翔希【写真:加治屋友輝】
綾羽戦に登板した横浜・織田翔希【写真:加治屋友輝】

横浜・織田が自己最速タイを計測し勝利に貢献

第107回全国高校野球選手権は14日、大会第9日目が行われ、第3試合で綾羽(滋賀)が横浜(神奈川)と対戦し1-5で敗れた。2回戦敗退となった綾羽の千代純平監督は「織田くんが出てきたところで攻めきれませんでした」と、プロ注目右腕・織田翔希投手(2年)の快投に舌を巻いた。

 綾羽は初回、横浜の先発・池田聖摩投手(3年)から先頭の北川陽聖外野手(3年)の内野安打などで1死一、三塁とすると、山本迅一郎捕手(3年)の犠飛で春の王者から先取点を奪った。しかし、4回から織田がマウンドに上がると流れが一変。5回に織田自らのバット追いつかれると、6回には3番手の藤田陸空投手(3年)が連続死球と自らの暴投で2失点。8回にも2点を追加され万事休すとなった。

 場内の空気が一変したのは、“スーパー2年生”が登板してからだった。リリーフとしてマウンドに上がり、いきなり自己最速タイとなる152キロを計測。どよめく甲子園に千代監督は「織田くんが球場の空気を自分のものにしたなと思います」と脱帽。その後も織田は打線を寄せ付けず、9回2死で降板するまで無失点に抑え6奪三振を奪った。

「下級生で彼にとっても初めての夏の甲子園ですが、物おじしていなかった。彼らも負けられないプレッシャーがあると思いますが、それ以上に目の前の相手を倒す、受け身じゃないところが素晴らしいなと思いました」と千代監督。2年生ながら堂々たる風格さえ感じさせる姿と、隙のない投球に敵ながら感心すら覚えた。

打者も見たことがないと驚愕「バケモノでした」

 織田の凄さは選手も肌で感じていた。織田がマウンドに上がり最初に対峙した「3番・三塁」の川端一透(かわばた・いちと)内野手(3年)は「バケモノでした」とひとこと。速い事は分かっていたし対策済みだった。それでも圧倒される凄みがあった。

「思ったより上から伸びてきて全然手が出ませんでした。見た事のない角度で、球も重くて、思っている球と全然違くて……」。2ボールから外角の直球を打ったものの、結果は右飛。「捉えたと思ったら全然飛んでなくて。良いあたりでライトの前に落ちるかなと思ったんですが、押されていました」と衝撃を受けた。

 横浜自体は昨秋、新チームが発足してから負けたのは今春の関東大会準決勝での専大松戸戦(千葉)のみ。昨秋の県、関東大会で優勝し、そのまま明治神宮大会でも優勝。今春のセンバツでも優勝を果たす無敵ぶりを見せている。この夏は春夏連覇だけでなく、明治神宮大会も含めた全国3冠がかかっている。

 まさに“最強王者”――だからこそ、勝ちたかった。千代監督は「3冠を狙えるチームって2、30年に1回だと思うし、そんなチームと甲子園でできるなんでラッキーでしかない」と前向きにとらえ、「ましてそこに勝ったら、勝負の世界に生きていて格上に勝つというのは一番楽しい事」と選手にも言い続けてきた。

“横綱”相手に果敢に挑んだ夏。名門の強さと怪物の凄みを経験し、綾羽はまた強くなる。

【実際の様子】衝撃の152km! 横浜スーパー2年生・織田翔希の“爆速球”に騒然

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