日本ハム、逆転Vの鍵は? 専門家が指摘した“采配”…新庄監督は「踊らせることができるか」

日本ハム・新庄剛志監督【写真:小池義弘】
日本ハム・新庄剛志監督【写真:小池義弘】

野口寿浩氏、日本ハムの今後の戦い方に注目

■日本ハム 9ー4 ロッテ(14日・エスコンフィールド)

 逆襲のキーマンは指揮官――。日本ハムは14日、エスコンフィールドで行われたロッテ戦に9-4で快勝。首位のソフトバンクが西武に敗れたため、再び3ゲーム差に迫った。7月31日に首位から陥落し、前カードはソフトバンクに3連敗。徐々に引き離されかけていたが、息を吹き返した。この先、首位奪回、そして9年ぶりのリーグ優勝はあるのか。現役時代に日本ハム、阪神など4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は、新庄剛志監督の用兵と采配をポイントに挙げた。

 初回、先頭の五十幡亮汰外野手が四球で出塁すると、すかさず二盗に成功。1死後、三盗を決めて野村佑希内野手の左前打で先制のホームを踏み、早々と試合の主導権を握った。「日本ハムはバリエーションのある選手がそろっています。ランナーに出れば五十幡は2つ盗塁がいける。ただ、五十幡というより(ロッテ先発の)河村をきっちり研究していたと思います。クイックが遅いのを事前にチーム全体で研究できていました」。

 初回はフランミル・レイエス外野手の右越え2ランも飛び出して3点を先制すると3回に2点、5回には3点を追加。7回にも1点を加え、終わってみれば9安打で9得点とそつのない攻撃で連勝を飾った。2戦連発のレイエスは23本塁打、68打点で2冠を独走。「引っ張るだけのバッターじゃない。外角高めを上からしっかり叩いた。相手バッテリーは大変ですよ」と頼れる4番の打撃を評価した。

“大技小技”で勢いを取り戻した中、首位奪回の鍵はどこにあるのか。野口氏は「誰か1人がキーマンになるということはない。どの選手がキーマンというより、新庄監督じゃないかなと思います」とプロ同期入団の指揮官の名前を挙げる。「用兵、采配を含めた全てです。どれだけ選手を踊らせることができるか、選手を引っ張っていくことができるか。いい状態に持っていってあげられるかにかかってきます」。

不安材料「ほとんどの選手に優勝の経験がない」

 2022年から指揮を執る新庄監督は1、2年目はともに最下位。それでも多くの選手にチャンスを与えて若手を育成し、3年目の昨季は思い切った采配もはまって2位に躍進した。その勢いのまま、今季は序盤から好調で一時は首位を快走。しかし、徐々に調子を上げてきたソフトバンクに7月3日に首位を明け渡すと、以降は激しい首位争いを展開した。

「いつの間にかソフトバンクが追いついて、あっという間に抜けていた。昨年も優勝しているし、これから怪我人が戻ってくるソフトバンクの方にアドバンテージがある」と野口氏は見ている。そんな中で日本ハムが巻き返すには「全員の働きが重要になってくる。そうなると新庄監督が大事です。相手は百戦錬磨。今までのような冴えを見せられるかに注目です」と力を込めた。

 全体的に若い選手が多く「ほとんどの選手に優勝の経験がない。経験があるのはオリックス時代の伏見(寅威)と(山崎)福也ぐらいですから」と不安材料はある。一方で新庄監督は現役時、メジャーリーグでジャイアンツ時代にワールドシリーズ出場経験があり、日本ハムでは2006年にはリーグ優勝と日本一に貢献。大舞台で結果を残してきた実績がある。

「いい意味で、うまく選手を踊らせてここまできています。しびれる展開になった時に、状態のいい選手を使っていって、今までやってきたことが狂わないかどうかです」。野口氏はこれまで通りの用兵、采配を貫けるかがポイントの1つだとし「まだ隠していることがあるのか、使ったことがない手があるのか」と続けた。指導や采配で何度も驚かせてきた新庄監督なら、まだ何か“奥の手”があるのかもしれない。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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