ロッテが驚きの試み…プロ野球“選手”が披露したダンス 本家顔負けの完成度に騒然

ロッテの東京ドーム開催試合のイベントが話題
パ・リーグファンにはおなじみの、ロッテ夏の一大イベント「BLACK SUMMER WEEK supported by CooLish」。その期間中の7月31日、ロッテ-楽天戦(東京ドーム)では、東京ドームならではのビジョン演出を生かした特別仕様のイニング間イベントが行われた。
会場が暗転し音楽が流れると、バックスクリーンにロッテの選手の映像が登場。プロ顔負けの動きで音楽に合わせて踊る姿に、ファンからは驚きと歓声が上がった。
5回終了後に球場が暗転。場内に流れ始めたのは、ロッテ・山本大斗外野手の登場曲でもあるケンドリック・ラマーの「tv off」だった。観客席のペンライトがきらめく中、大型スクリーンに「BLACK SUMMER DISCO」のネオンカラーのタイトルが浮かび上がった。
映し出されたのは山本と池田来翔内野手。ジャンプや手の交差などノリの良いHIP HOPダンスを披露する姿はあまりにも滑らか。実はAI技術で生成された「ダンス映像」で“本人”と見間違えるほどだった。
続いてロゼ&ブルーノ・マーズのヒット曲「APT」。中森俊介投手と寺地隆成捕手が軽快なダンスを見せ、意外な組み合わせに観客席はどよめきと笑顔に包まれた。3曲目は今年のSNSを席巻したCANDY TUNEの「倍倍FIGHT」。藤原恭大外野手と西川史礁外野手がアップテンポに乗せてキレのあるダンスを披露。ラストはこの日の始球式を務めた二宮和也さんにちなんだ「A・RA・SHI」。スクリーンに映った6人組のシルエットは、これまで登場した6選手。本家さながらのダンスでファンを魅了した。
演出を企画したロッテの奈良林希さんが舞台裏を明かした。「東京ドーム開催は特別な日。演出チームも気合を入れて準備しますが、前日に仕込み時間が確保できず、その中で浮かんだのが“AIを使ったダンス動画””というアイデアでした。協力してくれた選手には大変感謝しています」。
山本「本当にオレが踊っているのかと思いました」
今回のAIダンスは、単に写真を動画化したものではない。自然な動きを表現するため、生成AIに学習させる「お手本動画」の撮影が必要だった。「おふざけではなく、キレッキレでかっこいいダンスを目指しました。プロのダンサーとスタジオにこもり、学習用の動画を撮影。選手のポーズも盛り込みました」
細部まで何度も調整を重ねたクリエイターたちの努力が、この一体感につながったという。選手たちも完成映像に驚きを隠せなかった。寺地は「おもしろかったです。生で見ましたが、あそこまで再現できるとは思いませんでした。ベンチ周りも笑っていました」と振り返る。
山本も「本当にオレが踊っているのかと思いました。普通に正面、横、後ろを撮影しただけだったので、あんな感じになるとは。練習前に登場曲が流れてきたので何だろうと思ったら、ビジョンで流れていて笑いました。自分ではできないので、今後もAIでお願いします」と笑った。
“AIの選手が踊る”という大胆な発想は、現場の地道な努力と多方面の協力で実現。今季のBLACK SUMMER WEEKは11日間で幕を閉じたが、来季への期待も高まる印象的な試みとなった。
(「パ・リーグ インサイト」波多野アイ)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)