日本ハムに現れた155キロの“秘密兵器” 専門家も驚いた剛球「軽くシュッと投げている」

日本ハム・福島蓮、自己最長7回を2失点…最速タイ155キロ
うなるような剛速球を絶賛した。日本ハム・福島蓮投手は14日、エスコンフィールドで行われたロッテ戦に先発。自己最多111球を投げ7回2失点で2勝目を挙げた。自己最速タイの155キロを計測した直球で相手打線を圧倒。現役時代に日本ハム、阪神など4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「これからも十分、戦力になるよ」と高く評価した。
190センチの長身から投げ下ろす直球は威力十分だ。3回、先頭の宮崎竜成内野手を内角152キロで見逃し三振に仕留めるなど、終始150キロを超えて勢いがあった。野口氏も「いい投手ですね。体がデカいから、打者は近くに見えると思います。目いっぱい投げている感じじゃなくて、軽くシュッと投げている感じなのに最速155キロですから、いいですよね」と称えた。
球自体も素晴らしいが、投球スタイルも素晴らしい。「ストレートの強さを(捕手の)田宮(裕涼)と2人で生かしていました。組み立てを工夫していましたよね。ざっくり言えば、立ち上がりは内に速く、外に緩く。内角にストレートをガンガン投げ込んでいました」。序盤から常時150キロを超える直球で内角をえぐったことで、フォークやカットボールなどの変化球も、より生きてきたのである。
その効果は中盤以降にも表れる。「終盤に外角中心になっても、打者は内角に残像があるんです。だから甘くなってもスイングがずれてミスショットになる。打たれてもシングルヒット止まりが多くなる。それが顕著に見えました」。自己最長の7回を投げて7安打7奪三振の力投。最後まで球威は衰えなかった。
1か月ぶりの1軍マウンドで躍動、今季2戦2勝
八戸西高から2021年育成ドラフト1位で入団。2軍で着実に力をつけ、昨年の開幕前に支配下選手登録を勝ち取った。昨年は6月2日のDeNA戦でプロ初勝利をあげるなど12試合に先発して2勝3敗、防御率3.54。今季は投手陣が充実していたため、1軍登板が訪れたのは7月13日のオリックス戦(エスコンフィールド)だった。そこで5回無失点に抑えて今季初勝利。約1か月ぶりの1軍マウンドで再び快投し、2戦2勝と結果を残した。
「今年の日本ハムの先発投手陣は異常なくらい充実していますから。凄く安定していて、完投する投手が何人もいます。これまでチャンスが多くなかったのは仕方がありません」。リーグトップの11勝を挙げている伊藤大海投手、リーグ2位の防御率1.45と安定感抜群の北山亘基投手、開幕投手を務めた金村尚真投手、ベテランの加藤貴之投手や山崎福也投手、伸び盛りの達孝太投手ら豪華布陣に割って入るのは簡単ではない。
「大変な競争になりますね。ただ、結果を出しておくと次につながります」。チームを2連勝に導いた22歳右腕は力強さに加えて大きな伸びしろがある。「チームは全体的に若いですけど、チャンスをものにしましたから、これから十分に戦力になります。ストレートの強さは魅力。楽しみですね」。首位のソフトバンクとは再び3ゲーム差に接近。首位奪回、その先にある9年ぶりのリーグ制覇へ。ペナントレース佳境で福島が“切り札”となる可能性は十分にある。
(尾辻剛 / Go Otsuji)