阪神戦で大逆転呼んだ巨人24歳左腕 専門家も絶賛「あっという間に感じた」

巨人・横川、2番手で2回無失点の好救援
■巨人 6ー5 阪神(15日・東京ドーム)
テンポのいい好救援が流れを変えた。巨人の横川凱投手は15日、東京ドームで行われた阪神戦に0-4の5回から2番手で登板。2回を無失点に抑えて相手打線の勢いを止め、チームの逆転勝利に貢献した。現役時代に日本ハム、阪神など4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「逆転勝利の功労者です」と絶賛。24歳左腕の魅力を解説した。
4点ビハインドの5回からマウンドへ上がると、140キロ台中盤の直球とカーブやフォークなどの変化球を駆使。先頭の森下翔太外野手を投ゴロに仕留めるなど打者7人と対峙して1安打無失点に封じた。「2イニングで33球。結構投げているんだけど、サッと抑えてパッと切り上げた。投球間隔が短いから、横川が投げている2イニングはあっという間に感じました。リズムよく、テンポよくアウトを取ったから巨人に流れがいったんです」。
試合の流れが変わる要因は、大きく分けて2つあるという。「1つは勝っているチームがミスをすることです。失策、先頭打者への四球、走塁ミス。そういったことで流れを手放すことが多くあります」。もう1つが「リードされているチームが、守りからリズムを上げていって、徐々に流れを引っ張り込んでいくケースです」と説明。「この試合は阪神にミスがあったわけじゃない。完全に後者です」と強調した。
横川が2回を無失点に抑えた直後の6回、先頭のリチャード内野手が中前打で出塁。5回まで1安打に封じられていた打線が急に活気づいた。2死一、三塁から代打の坂本勇人内野手が左翼席へ3ラン。1点差に詰め寄り、ベンチのムードも一変した。2点差の7回には代打・中山礼都内野手が同点2ラン。「6回から阪神は防戦一方だった。もうこれは流れとしか言えません」と野口氏が言うように、完全に押せ押せムードとなった巨人が8回に勝ち越しで逆転勝利を飾った。
「試合を立て直す最高のピッチング」
「野球は流れのスポーツなんです。流れをつかんだ方が試合を優位に運べる。この試合は横川が素晴らしい流れを持ってきました。先発が崩れましたが、その後に試合を立て直す最高のピッチング。物凄く称えられるべき内容でした。ストライクが取れなくて苦しむタイプじゃないし、球種が豊富で、制球力もあって流れを変えられる投手です」
大阪桐蔭高から2018年ドラフト4位で入団。2年目の2020年にはプロ初登板を果たした。その後、育成契約と支配下復帰を2度繰り返した苦労人は2023年に先発16試合を含む20試合に登板して4勝をマーク。昨年は先発3試合を含む12試合に登板して3勝1敗、防御率0.94の成績を残した。7年目を迎えた今季も先発2試合を含む19試合に登板して0勝0敗ながら防御率2.09と安定した投球を見せている。
先発も中継ぎもできる貴重な左腕。野口氏は「本人としては先発をやりたいかもしれませんが、ある程度のイニングを投げられるので、この試合のような展開になった時には第2先発のようなありがたい存在です」と高く評価する。「巨人にとっては大きい。勝ちを拾えましたね」。チームは再び貯金1。佳境に差し掛かったペナントレースで、まだまだ横川に出番が回ってきそうな雰囲気がある。
(尾辻剛 / Go Otsuji)