巨人の助っ人4番は「他球団から狙われる」…専門家が指摘した思わぬ弱点

阪神戦に出場した巨人のトレイ・キャベッジ【写真:小林靖】
阪神戦に出場した巨人のトレイ・キャベッジ【写真:小林靖】

巨人・キャベッジ、決勝犠飛も守備で不安露呈

■巨人 6ー5 阪神(15日・東京ドーム)

 逆転勝利を呼んだ男に思わぬ弱点が発覚した。巨人のトレイ・キャベッジ外野手は15日、東京ドームで行われた阪神戦に「4番・左翼」で先発出場。同点で迎えた8回に決勝の中犠飛を放ち、チームを再び貯金1に導いた。ただ、4回の守備では肩と返球で不安を露呈。現役時代に日本ハム、阪神など4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「ウイークポイントになる」と指摘した。

 問題のシーンは4回。2点を先制され、なお2死二、三塁の場面だった。近本光司外野手の打球は三遊間を破って左前へ。三塁走者が生還。浅めに守っていた左翼のキャベッジが前進して捕球した時、二塁走者・小幡竜平内野手は三塁に達しスピードを緩めた。ところが三塁コーチャーの田中秀太内野守備走塁コーチは腕をグルグル回す。小幡は慌てて再加速して本塁へ突入した。

 完全にアウトのタイミングかと思われたが、キャベッジの返球は少し一塁側にそれてクロスプレーに。ヘッドスライディングした小幡の左肘付近に甲斐拓也捕手が飛びつくようにタッチ。小幡の左手が本塁に触れるのが早いと判断されてセーフと判定された。微妙なタイミングで、甲斐はアウトではないかとアピール。リプレー検証となったが、判定は覆らなかった。

 2死だったから回したというだけではなさそうである。「『これでいくの?』って感じの打球でした。恐らく、キャベッジのところに飛んだら本塁を狙うとチーム内で話していたんでしょう。少々ムチャなタイミングでも回すと決めていたんだと思います」。

 二塁に走者がいて、ある選手の守ることろに打球が飛べば三塁コーチャーは必ず手を回す。巨人時代にアレックス・ラミレス外野手が左翼を守っていた際、同様のことがあったことを例に出しながら「キャベッジも狙われた」と推測した。

「ウイークポイント」「他球団のスコアラーも見ている」

 ペナントレースは佳境を迎え、1点が大きな意味を持つ試合も増えてくる。実際、この試合も最後は1点差の接戦だった。野口氏は「キャベッジの守備はウイークポイントではあります。二塁走者が三塁で一度止まったのに、際どかったですけどセーフですから。止まってなかったら余裕でセーフでした。他球団のスコアラーも見ているはずですし、今後は当然、他球団からも狙われるでしょう」と懸念を示す。

 岡本和真内野手が離脱中の現在は4番を担い、打線には欠かせない存在。この試合、チームは4点ビハインドの展開から反撃した。6回に代打の坂本勇人内野手が左翼席へ3ラン。2点差の7回には代打・中山礼都内野手が右翼席へ同点2ランを放った。そして8回1死二、三塁でキャベッジが勝ち越しの中犠飛。代役4番としてチームを逆転勝利に導いた。

 攻撃を考えると、“弱肩”は明らかに課題でもスタメンから外すのは難しい。「守備のリスク込みで使っているのは間違いない。守備位置をもう少し前にするのか、もっと速くチャージできるように練習させるのか、それとも守備には目をつぶるのか。それは我々が口を出すことではなく、現場が考えることになる」。熾烈な順位争いを展開する中、大きな不安を抱えた状態で、大事なシーズン終盤を迎える。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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